著者
江原 義弘 前田 雄 須田 裕紀 佐藤 未希 郷 貴博
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.61-66, 2021-11-30 (Released:2021-11-30)
参考文献数
13

医療系大学ではほとんどの学生が国家資格を取得することを目標に入学しているので国家資格試験の合格率は最大の関心事である。各学生の国家試験合格確率と学科全体の合格率が1年前から推定できる方法を提案した。これによって昨年と同じ対策で良いのか、それとも対策を変更する必要があるのかを、具体的なデータに基づいて検討することを可能とするためである。定員40名のある学科の1年間の模擬試験の成績と実際の合格・不合格のデータから、ある時期の模擬試験である点数を取った学生のうち何人の学生が合格していたかの合格確率を点数ごとに計算した。この確率と経時変化を折れ線グラフでモデル化した。このモデルを他の年度のデータに適用した。これによって各回の模擬試験の点数から各学生が昨年度と同じ努力をした場合の本番の試験の合格確率が推定できた。合格確率を合算することで学科全体で何人が合格可能かを推定できた。4年間の結果は、予測された合格率を実際の合格率で除した値を的中率とすると、各年度における2か月前の時点での的中率は0.86、1.00、0.99、1.13となった。当初の予想が悪い結果であれば対策を変更し、試験直前の予測が合格率100%となり、試験当日100%合格を実現できるのが理想的なシナリオである。