著者
佐藤 環
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究においては、近代日本における中等学校学科課程への弓道教育導入過程に関してその歴史的特質を考察した。まず、学科課程に弓道教育が導入可能となった昭和戦前期の全道府県の学校種ごとに実施状況をデータベース化して全体像を明らかにした。次に山形県を事例とした旧制中学校の弓道教育については、山形県中等学校体育連盟主催の体育大会で活躍することを目標にして活性化がなされた。最後に、東京府、茨城県および新潟県における高等女学校では、殆どの学校で弓道部活動が行われており男子校に比べて活発であった。戦前期中等学校における弓道教育は、主として女子中等学校に浸透していたことが明らかとなった。
著者
佐藤 環
出版者
常磐大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

近世諸藩における弓術師範の養成・登用において,業績主義的要素がいかに投影されたかを実態として明らかにすることが本研究の目的である。弘前藩ではまず藩外から高名な射手を登用し弓術師範となした段階,次にその移入師範の教導により弘前藩士による弓術師範の再生産が可能となった段階,そして全国規模の競射会である「通矢」参加によりそこでの成績が弓術師範任用基準として重視される段階へと進んでいった。水戸藩学弘道館では弓の腕前の試験である「見分」が実施され,業績主義的な教育の制度化が試みられている。