著者
杉本 妙子 村上 雄太郎
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では、日本語習得研究として現地調査を行い、ベトナム人が習得しにくい日本語音声、発音と聞き取りの誤用のずれ、格助詞に関わる誤用等について明らかにした。また、現地調査に基づく日越語対照研究では、ベトナム語のdi(行く)・den(着く)・授与動詞choの文法化の解明、日越語の助詞の対照と教育上の問題点の指摘等をした。さらにこれら研究成果をベトナムで継続的に発表することにより、ベトナムの本語教育研究の向上に貢献した。
著者
嶌田 敏行 小湊 卓夫 浅野 茂 大野 賢一 佐藤 仁 関 隆宏 土橋 慶章 淺野 昭人 小林 裕美 末次 剛健志 難波 輝吉 藤井 都百 藤原 宏司 藤原 将人 本田 寛輔
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

大学の諸課題の数量的・客観的把握を促すIRマインドの形成を目指した評価・IR人材の能力定義、教材の開発、教育プログラムの開発および体系化を行った。そのために単に研究・開発を行うだけでなく、様々な研修会や勉強会を開催し、全国の評価・IR担当者の知見を採り入れた。そのような成果を活かして、評価・IR業務のデータの収集、分析、活用に関するガイドラインも作成し、評価現場やIR現場で活用いただいている。加えて、合計14冊(合計940ページ)の報告書を作成した。この報告書は自習用教材としての活用も意識した構成とし、すべてwebページを作成し公表している。
著者
鳥養 祐二 田内 広 趙 慶利 庄司 美樹
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本科研費の研究代表者は、平成28年4月1日付で富山大学から茨城大学に転勤した。そのため、本科研費で使用を予定していた富山大学の研究設備を常時使用できなくなったために、申請時とは研究手法を大きく変更せざるを得ない状況となった。従って、現在の進捗状況は、申請時の計画より半年から1年遅れが出ている。平成29年度は、実際にトリチウム環境下でヒト細胞の培養を行い、トリチウム濃度と細胞の生存率について検討した。細胞の培養では、トリチウム汚染水を模擬したトリチウム水と、DNAに確実に取り込まれ、ヒト細胞の生存に影響があることが報告されているトリチウムチミジンを用いた。また、ヒト細胞としてヒト単球系細胞株であるU-937と、ヒト細胞の中でも放射線感受性の高い白血球細胞であるMolt-4を使用した。はじめに、各種濃度のトリチウムチミジン環境下で培養したヒト細胞のアポトーシスと、その原因と考えられるDNAの断片化を検討した。その結果、トリチウムチミジンの濃度に依存してアポトーシスが観測された。一方、アポトーシスが起きる濃度の前後で培養した細胞のDNAの断片化を測定した結果、DNAの断片化が観測されないという結果が得られた。これについては、今後も検討する予定である。次に、トリチウム濃度と細胞の生存率を検討した。その結果、放射線感受性の高いMolt-4では、トリチウム水濃度が439kBq/ml付近以上で培養したときに、生存率に影響が観測された。福島第一原子力発電所で発生しているトリチウム汚染水の濃度は、最大でも4kBq/ml、現在新たに発生している汚染水の濃度は0.3kBq/ml程度であり、放射線感受性が高いと言われるMolt-4細胞の影響が出る濃度の100~1000分の1の濃度である。従って、細胞レベルでは、汚染水程度のトリチウム濃度では影響は非常に小さいことが予測される。
著者
山田 桂子
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、世界初のテルグ語-日本語辞典を作成した。見出し語は約6000語である。テルグ語は話者人口においてインドで3番目に多く、ドラヴィダ系諸語ではもっとも多い。フィールドワークはインドと他の東南アジア等、テルグ移民居住地域でも行い、その成果は見出し語の選定、語法の特定、例文の作成等に反映されている。この辞書は、報告者が2010年に出版した文法書(『基礎テルグ語』大学書林2010年刊)と併用することで、日本人がテルグ語を独習することを可能にするものである。
著者
佐藤 環
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究においては、近代日本における中等学校学科課程への弓道教育導入過程に関してその歴史的特質を考察した。まず、学科課程に弓道教育が導入可能となった昭和戦前期の全道府県の学校種ごとに実施状況をデータベース化して全体像を明らかにした。次に山形県を事例とした旧制中学校の弓道教育については、山形県中等学校体育連盟主催の体育大会で活躍することを目標にして活性化がなされた。最後に、東京府、茨城県および新潟県における高等女学校では、殆どの学校で弓道部活動が行われており男子校に比べて活発であった。戦前期中等学校における弓道教育は、主として女子中等学校に浸透していたことが明らかとなった。
著者
信岡 尚道
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本年度は海浜侵食が最も顕著になる、台風や非常に強い高潮・高波来襲時の海浜流予測を流砂系全体で行えるようにモデル開発を行った.特にWave-setupが高潮時の水位に大きく寄与し、流れ場に大きく影響することを明らかにした。次に実地形への適応の検証を実施した.2005年にアメリカを襲ったハリケーンカトリーナに対しては、水位を精度よく追算でき、流れの場の予測も本モデルで可能である.2006年10月に茨城県沖を通過した爆弾低気圧に伴う高潮の追算については、十分な精度が得ることはできなかった.精度が得られなかった原因を解明するために、通常の波浪でも発生し海浜流と一体となる現象、Wave Setupの予測が問題であるか、風の吸上げ、風の吹寄せ、エクマン輸送が問題であるのかの検討を行った.この計算では2つの領域、一つは流砂系を網羅するもの,もうひとつは観測地点がある大洗港を含む狭い領域にとした.後者では、計算メッシュ幅を可能な限り小さくして、計算メッシュによる誤差を除外できる.大領域と小領域での計算された水位の差はWave Setupにあり、大領域での計算結果に問題があること、それは風の場の変化と複雑な地形に対応した波浪場を十分に再現できないためと推測された.以上の結果から、日本の海岸地形に流砂系全体の海浜流モデルを適応するには、日本の複雑な海岸線および海底地形を考慮できる波浪場および流れ場の計算座標系の開発が新たに必要であるといえる.
著者
冨山 清升
出版者
茨城大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

メダカを用いて、近親交配実験を行った。その結果、野生メダカは、飼育条件下では、近親交配によって、集団の遺伝的多様性のみならず、個体の遺伝的多様性も急速に低下することがわかった。集団の遺伝的均質化がいったん失われると、外部から新たな個体を導入しても容易に回復しないことも明らかになった。また、個体内の遺伝的多様性が失われた個体は、繁殖能力が著しく低下することも判った。RAPDプライマー法を用いて、直接、野生動物種の遺伝的多様性の検出を行い、集団のサイズやその集団が置かれている環境状態と関連性を調査した。調査対象としては、メダカ、オナジマイマイ、ウスカワマイマイを用いた。RAPDプライマー法の結果を用いて、メダカの野生集団、飼育集団、近親交配集団のDNAの多形の程度を数値化した。その結果、多形の程度は野生集団が十分の大きく、近親交配集団では、ほとんど多形が検出されないことがわかった。また、RAPDプライマー多形の程度は近親交配の程度を反映していることが裏付けられた。さらに、DNA多形の失われている個体は、形態においても左右対称性がゆがんでいることがわかった。以上の事実から、RAPDプライマー法を用いることによって、野外集団の近親交配の程度=絶滅の可能性の高さを推定することができることが判り、さらに、形態的な特徴である程度の推定が可能でことも示唆された。
著者
松村 多美恵 菅井 勝雄 (1984) 本田 敏明 菅井 勝雄 新妻 陸利 馬場 道夫
出版者
茨城大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1984

今回の研究は、IRE-【I】(Ibaraki Daigaku Response Environment-【I】)、IRE-【II】に続くIRE-【III】の開発に関するものである。最終年度である昭和61年度は、昭和59年度および昭和60年度に開発されたタッチスクリーン式コンピュータディスプレイ装置を用いて、実用化に向け、本格的な実験を行うとともに、本システムによる学習効果を実証するため、教材とされた生活単元学習としての「宿泊学習」での実際の宿泊場面や授業場面における児童の行動をビデオに記録し、分析した。具体的には、(1)F養護学校小学部における「宿泊学習」の事前と事後にプログラム学習(ことばと動画の対応、および次の行動の予測の動画選択)を実施した結果、学習成積の改善が見られるとともに、反応時間に関しても、反応時間が短かくなり、標準偏差も小さくなった。(2)児童の宿泊場面における行動を17項目の児童に対する質問調査、25項目のVTR反復視聴分析、および担任教師による21項目の行動評価によって検討した結果、多くの場面で自律性の向上が見られた。(3)実験群と統制群を設定し、実験群にみるプログラム学習を実施したところ、実験群において、生活単元学習としての「宿泊学習」の第1回の授業場面の行動がすぐれていた。すなわち、発語や指さしをしながら積極的に授業に参加している行動が、統制群より統計的に有意に多かった。以上の結果により、本システムの有効性が認められた。従来の視聴覚的方法であれば、宿泊学習のビデオを事前に視聴して、その効果を調査するという方法をとったであろうが、本システムは、場面を分解整理した上、児童自らが、タッチスクリーンに反応し、選択視聴するという方法をとり、児童の大きな興味を引いたように思われる。本結果の一部は、日本教育工学会(1986)において発表された。
著者
野口 康彦 青木 聡 小田切 紀子
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

質問紙及びインタビューによる調査等から,子どもが別居親と交流を持つことは,子どもの親への信頼感において,重要な要因となることが確認された。また,別居親と子どもが満足するような面会交流がされている方がそうでない場合よりも,自己肯定感や環境への適応が高いことも明らかになった。また、ノルウェー視察の結果については、関連の学会だけでなく、家庭裁判所の調査官や臨床心理市などの専門家への研修においても、報告をすることができた。日本における離婚後の子どもの権利擁護のあり方について、一定の示唆を行うことができた。
著者
先崎 千尋
出版者
茨城大学
雑誌
茨城大学地域総合研究所年報 (ISSN:03882950)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.87-99, 2007

2007年度から「新農政」が始まる。その骨子は,これまでの「バラマキ農政」から「選別政策」へ転換するもの,ということであり,財界,マスコミ,それに生協などが賛意を表している。この農政の転換は,その通りに実現すれば,わが国農政では農地改革以来の大改革となる。小農経済の中で,農協の存在は不可欠だが,現在の農協に対する批判は厳しく,まさに四面楚歌の状態にある。批判の論旨は,農業構造の変化に農協は対応出来ていない,行政と癒着している,農協の経営はどんぶり勘定だ,組合員の声が運営に反映されていない,など。しかしそれにもかかわらず,農協の対応は鈍い。昨年秋に開かれた全国,都道府県レベルでの大会は「農協の生き残りをかけたもの」という意気込みだったが,その内容は問題だらけだった。重要な問題は,農協としてわが国の農業をどうするかというグランドデザインが欠けていること,農家の暮らしをどう守っていくのか,まったく触れていないことの二つである。では,農協で展望を見出す(農協が生き残れる)とすれば,解決すべき課題は何か。そもそも協同組合とは何か,など9つの課題と私見を展開するものである。
著者
Kamezaki Masaru
出版者
茨城大学
雑誌
五浦論叢 : 茨城大学五浦美術文化研究所紀要
巻号頁・発行日
vol.12, pp.A39-A53, 2005-11-30

より洗練された優美な国際様式を好むロレンツォ・ギベルティがフィレンツェ洗礼堂に制作した第三門扉、即ち「天国の扉」の浮彫りパネルに認められる言わば絵画主義(pittorismo)への傾向は、その著書『I Commentari』に於いて、シモーネ・マルティーニにも優る評価をアンブロージォ・ロレンツェッティに与えていることからも理解される。実際に、「天国の扉」には、アンブロージォの絵画から想を得たと思われるモテイ-フが随所に見出される。殊にシエナのパラッツォ・プッブリコのサーラ・デッラ・パーチェの≪善政≫でかくもあやしくリリシズムを湛えて踊る娘達(fanciulle danzanti)は、「天国の扉」のうちの≪ノアの物語≫、≪ダヴィデの物語≫、≪モーセの物語≫、≪ヨシュアの物語≫、≪カインとアベルの物語≫を表す各浮彫りパネルの中に様々な形をとって現れる。ギベルティによるアンブロージォ・ロレンツェッティに対する"nobilissimo componitore(かくも高貴な構成家)"という呼び名は、場面が恰も目の前で次々と継起するように、絵画空間に"闊達にして豊かな(copiosa)"物語を説明し且つ記述するための画家のcapacita narativa(説話能力)を表す呼び名に他ならない。しかしながら、アンブロージォの絵画とは、絵筆のリリカルで詩的用法による記述であったに相違ない。そして、そこでの絵画空間とは、造形的な対象を内に収めた三次元的な穿たれた空間(spazio scavato)、即ち、ジョットやピエトロ・ロレンツェッティに固有の"inquadratura prospettica(遠近法的枠組み)"ではなく、閉じられた壁として定義される装飾的平面を強調するためのものであった。そして、このようなアンブロージォの絵画の特質こそは、ギベルティを魅了し、その"teorica d'arte(芸術理論)"を満足させていたと考えられる。つまり、彼ギベルティの芸術理論は、単にdisegnoのためのものではなく、諸表面の装飾的且つ構成的な(compositivo)効果、即ち彼を魅了していたアンブロージォの作品に見られる色彩の諸層、または色彩面からなるtessuto(織物)のような効果をも志向していたに違いない。そして、国際ゴシックへと向かう自身の趣味ゆえに、ギベルティが、諸場面や色彩の知的構成のためのイデアの点でシモーネ・マルティーニよりも優れていたともいえるアンブロージォ・ロレンツェッティを、トレチェント芸術に於ける彼自らの先駆者と考えていたとしても何の不思議もないのである。