著者
取替 恵 佐藤 生一
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】現在,日本人における漬物の摂取頻度の減少がみられる。本研究では,産学連携事業の一環として名古屋市西区にある(株)ほった様より漬物の提供を受け,漬物を使ったパンレシピを開発し,漬物離れしている人々に再度関心を持ってもらうことを目的とした。</p><p>【方法】ピザやサンドイッチ等と漬物を組み合わせ,試作を行ったが,味や見た目を検討した結果,最も相性が良いとの結論に至ったカレーパンで官能評価を行った。試作の結果,生地に対して,しば漬けと福神漬けは12%,紅しょうがは8%加えることとした。またカレーフィリングにはたくあんを使用し,16%加えることとした。対象者は,本学学生栄養士専攻24名,製菓専攻9名,教職員11名とした。漬物の摂取頻度,居住形態,好きな漬物については,自記式質問紙を用いて調査した。カレーパンの味と見た目の官能評価については,良いと思った順に1位,2位,3位と順位をつけ,順位和を基に分析を行った。</p><p>【結果および考察】漬物の摂取頻度は学生に比べ,教職員が最も高く,居住形態は「その他」と答えた人が栄養士専攻と教職員にみられたことから,居住形態が若者の漬物離れに関係しているのではないかと推察される。好きな漬物については,たくあんが一番好まれたことから,スーパー等で入手しやすいからではないかと推察される。味の評価では製菓専攻のみ,しば漬けが有意に好まれ,見た目の評価ではどの対象からも,紅しょうがと福神漬けが好まれる傾向であった。味と見た目の評価の結果から,漬物とカレーパンは合うことがわかった。今後もパン,洋菓子,和菓子と相性の良い漬物や食材を発見し,レシピ開発につながり,漬物が身近なものと感じていただけたら幸いである。</p>
著者
佐藤 生一 中島 千枝 山澤 正勝
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.19-26, 2011-03-31

現在市販されているういろうに使用されている原料粉は,米粉,小麦粉,小麦デンプンおよびそれらを組み合わせた混合物などが使用され,非常に多種多様である.ういろうの品質は,米粉の粒度分布,原料粉の種類,加熱条件などによって影響されることが知られている. 著者らは先に,各種原料粉の特性と得られたういろうの物性および官能評価との関係と,ういろうの物性に及ぼす各種原料粉配合比(1:1)の影響について検討し,それぞれのういろうは著しく物性が異なることを報告した.本研究ではういろうの品質に及ぼすグルテンの影響について検討した. まず,RVAによる最高粘度は,小麦デンプンをグルテンに置換すると,置換量が多くなるほど低下する傾向を示した.一方,これら原料粉で調製したういろうの物性の特徴は,小麦デンプンういろうは破断強度が最も強く,グルテン置換量が増加するほど低下する傾向を示した.色調においてはグルテン置換量に比例してb*値が高く,黄色みが強くなる傾向を示した.官能検査では,強力粉ういろうとグルテン15%置換ういろうが有意に好まれた.