著者
諸原 雄大 近藤 邦雄 島田 静雄 佐藤尚
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.329-337, 1995-02-15
被引用文献数
8

人がデザイン画についての善し悪しなどの印象を受け取るとき、その基準となる物理的特徴は大きく分けると色と形の二つである。著者らの研究の目的は、色と印象との関係を求めることである。このために、イメージ・カラーを選定する方法を提案する。イメージ・カラーとはデザイン画において用いられている色のうち、特に印象に影響の与える度合が強い色の組合せをいう。イメージ・カラーを選定することによる利点は、デザイン画を見ることにより得られる印象が、イメージ・カラーを見ることにより得られる印象とほぽ同じものとなることである。デザイン画のイメージ・カラーの抽出の方法は配色カードを用いて求めており、経験を必要とする作業である。もしも・イメージ・カラーの自動選定が行えれば、誰にでもデータベースに登録されている画像のイメージ・カラーを求めることができ、新しいデザイン画に他のデザインのイメージを与えることが簡単にできるようになる。本論文においては、デザイナーのイメージ・カラー選定法を参考に、計算機におけるイメージ・カラーの選定法を提案する。デザイン画像はRGBの3原色、各8ビット階調により表現されているものを用いた。このデザイン画像において便用されている色を色空間上でまとめていくことにより色の限定を行い、その中から目立つ色を取り出した。この方法により、計算機においてイメージ・カラーを選定することができるようになった。
著者
佐藤尚 内部 英治 銅谷 賢治
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.SIG19(TOM19), pp.55-67, 2007-12-15

コミュニケーションの原型は,個体が環境や他の個体との相互作用において,報酬の獲得や適応度の向上に寄与する形で発現したと考えられる.本研究では,報酬最大化を目的とする強化学習エージェントが,余剰な行動と感覚の自由度をコミュニケーショのために使うことを学習できるための条件を,2個体が互いに相手の縄張りに入ると報酬を得るが衝突すると罰を受けるというゲームにより検証した.このゲームでは,コミュニケーションと協調行動のそれぞれが必須ではないが,発光行動を使えるエージェント間では,互いにその光を信号として利用することで衝突を避け,報酬を獲得し合う協調行動の創発が観察された.信号の表現の仕方には多様性が見られ,また作業記憶を持つエージェント間では,信号を送る側とそれに従う側という役割分化も見られた.これは,コミュニケーションと協調行動が必須ではない状況において,意味と信号の任意の対応付けによるコミュニケーションが,コミュニケーションの達成そのものを目的としなくても一般的な行動学習の枠組みにより創発しうることを示す初めての知見である.
著者
望月 義典 近藤 邦雄 佐藤尚
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.1148-1155, 1999-03-15
被引用文献数
2

本論文では 三次元形状の理解を容易にする画像を生成するエッジ強調描画手法について述べる. 形状特徴の誇張や陰影の強調など 画像に対するさまざまな強調によって 従来のリアリティの高い画像の生成方法に比べて 対象物の形状や質感などの情報を分かりやすく表現することができる. 特にエッジは 形状把握のうえで重要な存在である. 本研究では 三次元形状モデルに対して エッジをその構造的な特徴ごとに分類し 特徴に合わせてエッジの幅や色の情報を指定して描画する方法を提案する. 従来のエッジ描画手法では エッジの幅や色を自由に指定して描画することは困難であったが 提案手法により短時間で容易に描画を行うことができるようになった.We introduce a series of graphics algorithms which generate images so as to emphasize their three dimensional characteristics. Compared with photorealistic rendering, shape features can be readily understood if certain geometric properties are enhanced. Especially, edge enhancement is an important technique to understand shape features. We propose a new edge drawing technique for 3-D shapes that classifies edge by structural features and can specify properties of edges such as width and color. In traditional way of drawing egdes, it is difficult to specify properties of edges. Our method can draw edges more quickly and easily.