著者
岩本 圭亮 村上 順一 佐野 史歩 林 雅太郎 上田 和弘 小賀 厚徳 濱野 公一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.1917-1922, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

症例は44歳,女性.検診の胸部単純X線検査で異常を指摘された.CT検査で後縦隔腫瘍を指摘され,当科へ紹介された.MRIとPET-CTから嚢胞性病変を疑い,胸腔鏡下に後縦隔腫瘍を摘出した.腫瘍は薄い被膜に覆われた単房性嚢胞で,周囲組織との連続性はなかった.嚢胞壁は単層または数層となった丈の低い線毛円柱上皮細胞からなり,エストロゲンレセプター陽性かつプロゲステロンレセプター陽性であったため,Müller管嚢胞と診断した.術後にHorner症候群を認めたが,術後6カ月に改善を認めた.閉経前後の女性における後縦隔嚢胞を認めた場合,Müller管嚢胞の可能性を念頭に置く必要がある.
著者
田中 裕也 坂本 龍之介 矢野 由香 佐野 史歩 井口 智浩 久我 貴之
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.1652-1657, 2019 (Released:2020-03-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

症例は69歳,男性.心窩部痛と食欲不振を主訴に受診.上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行脚に全周性の隆起性病変を認め,生検にて未分化多形肉腫と診断された.明らかな遠隔転移はなく,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後2.5カ月で施行したCT検査にて,肝転移と局所再発を指摘された.Doxorubicin投与を開始したが,病状が悪化し術後5.5カ月で永眠した.未分化多形肉腫の好発部位は四肢や後腹膜であり,十二指腸原発の報告例はこれまでに6例のみである.文献的考察を加えて報告する.