著者
岩本 圭亮 村上 順一 佐野 史歩 林 雅太郎 上田 和弘 小賀 厚徳 濱野 公一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.1917-1922, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

症例は44歳,女性.検診の胸部単純X線検査で異常を指摘された.CT検査で後縦隔腫瘍を指摘され,当科へ紹介された.MRIとPET-CTから嚢胞性病変を疑い,胸腔鏡下に後縦隔腫瘍を摘出した.腫瘍は薄い被膜に覆われた単房性嚢胞で,周囲組織との連続性はなかった.嚢胞壁は単層または数層となった丈の低い線毛円柱上皮細胞からなり,エストロゲンレセプター陽性かつプロゲステロンレセプター陽性であったため,Müller管嚢胞と診断した.術後にHorner症候群を認めたが,術後6カ月に改善を認めた.閉経前後の女性における後縦隔嚢胞を認めた場合,Müller管嚢胞の可能性を念頭に置く必要がある.
著者
平田 健 加藤 智栄 八木 隆治 林 雅太郎 河野 和明 瀬山 厚司 久我 貴之
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.805-809, 2005-04-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
12

目的)手術切開創の創傷処置に閉鎖環境,消毒不要などの概念が導入され創傷処置が変わりつつある.当科ではフィルムドレッシングを導入し,従来のガーゼ処置と比較検討した.方法)胸腹部待機手術症例を対象とし,フィルム群 (F群)とガーゼ群 (G群)へ最小化法により振り分け,前向き研究を行った. F群では縫合直後にフィルムドレッシング材を貼付し抜糸まで交換せず経過観察した.創感染,コストなどについて検討した.結果) F群49症例,G群51症例.手術部位,手術時間,切開創の長さ,抜糸までの日数には差はなかった.切開創感染はF群で3例 (6.1%), G群で2例 (3.9%) で差はなかった (p=0.92). コストはF群 (255円)で, G群 (605円)に比し有意に低かった (p<0.001). 結論)フィルムドレッシングは切開創の管理,観察が容易で,創感染を増加せず,低コストであり,従来のカーゼ処置より有効であった.