著者
佐野 訓明
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

トポIIを標的とする複数の阻害剤がトポIIβの選択的な分解を引き起こす。トポIIβは分解に先立って1259番目のリジン残基がSUMO-2/3により修飾され、その修飾が起きない変異体(K1259R)では分解も起きなかった。一方、トポIIαは同様に阻害されるにも関わらず分解されない。強制発現実験やSUMO修飾部位の解析から、両者の阻害後の処理のされ方の違いは発現時期・局在の違いに依るのではなく、SUMO修飾部位の有無によると考えられる。
著者
汪 達紘 藤田 洋史 荻野 景規 筒井 研 佐野 訓明 中村 和行 宮崎 正博 筒井 研 佐野 訓明 中村 和行 宮崎 正博 益岡 典芳
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ヒドロキノン(hydroquinone)、ローソン(lawsone)等日常生活によく使われる化学物質を初代培養肝細胞に曝露し、高濃度になるにつれて、カタラーゼ遺伝子正常(Cs^a)及び変異 (Cs^a)とともに肝細胞生存率が有意に低くなる傾向がみられた。各曝露濃度においては、カタラーゼ活性の低いマウス(Cs^b)の肝細胞の生存率がカタラーゼ活性正常のマウス(Cs^a)に比し著しく低下した。特に美白クリームの主成分であるヒドロキノンの添加により、肝細胞のアポトーシス(細胞死)がみられ、酸化ストレス関連薬物代謝酵素CYP 2E1のmRNA及び蛋白質とともに発現が増加したことが分かった。
著者
汪 達紘 筒井 研 佐野 訓明 益岡 典芳 伊藤 武彦 荻野 景規
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、酸化的ストレス誘発有害物質の評価法の開発とその実用化を目指している。平成17〜19年度にわたってマウス由来のカタラーゼ変異遺伝子導入大腸菌(Cs^a:正常カタラーゼ活性菌、Cs^b:低カタラーゼ活性菌)を用い、CAT Assayにより化学物質の細胞毒性等について検討し、以下の成績を得た。市販の染料であるヘンナ製品(タトゥーや髪染め等)及びその抽出物であるローソンを各菌株に曝露させると濃度依存的な細胞障害を示され、その障害が各菌株のカタラーゼの活性とは負の相関であった。また、ローソンの曝露濃度依存性にH_2O_2の生成上昇を確認した。更に抗酸化物質catalase、 capsaicin、 ascorbic acid等で前処理された菌株にヘンナ製品及びローソンの投与により細胞毒性は減少した。金属キレート剤であるジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)をローソンと一緒に各菌株に曝露するとDTPAの曝露濃度が高ければ高いほど各菌株の生存率が上がり、量-反応関係が見られた。ジチオトレイトール(DTT)は、チオール性抗酸化物質として広く使用されているが、活性酸素種を産生し酸化促進剤として作用することも報告されている。CAT Assayでは、Cs^a、 Cs^bともDTT濃度依存性の細胞毒性が見られ、両者の間には有意な差異が認められた。Catalaseの添加により、DTTの細胞毒性を完全に抑制され、ascorbic acid、 catechin及びresveratrolもDTT毒性の予防に有効であった。CAT Assayの実用性について、医療廃棄物の処理残渣及び一般廃棄物の焼却灰を用いて検討した。3種類の有機溶媒及び滅菌水を用いて試料の抽出方法について比較した。水及びメタノールの抽出物による各菌株の増殖抑制はカタラーゼ活性と負の相関があり、検体の曝露量が高ければ高いほど各菌株の生存率が下がり、カタラーゼ活性に依存していることが示唆された。アセトン及びヘキサンの抽出物は各菌株に影響を示さなかった。本研究で確立したCAT Assayは、酸化的ストレス誘発有害物質の評価法として応用が可能であると考えられる。