著者
小原 雄治 加藤 和人 川嶋 実苗 豊田 敦 鈴木 穣 三井 純 林 哲也 時野 隆至 黒川 顕 中村 保一 野口 英樹 高木 利久 岩崎 渉 森下 真一 浅井 潔 笠原 雅弘 伊藤 武彦 山田 拓司 小椋 義俊 久原 哲 高橋 弘喜 瀬々 潤 榊原 康文
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)『学術研究支援基盤形成』
巻号頁・発行日
2016

①総括支援活動では、支援課題の公募を行い、領域外有識者による審査委員会により選考し、支援を行った。経費上限設定など多くの採択ができるように努めた結果、応募188件、採択93件(採択率49.5%)となった。支援の成果として2017年度に54報の論文発表がなされた。②大規模配列解析拠点ネットワーク支援活動においては、最先端技術を提供するためにそれらの整備や高度化を進めた。遺伝研拠点では染色体の端から端までの連続した配列完成を目指して、ロングリードシーケンサー(PacBio Sequel)、長鎖DNA試料調製技術、さらに1分子ゲノムマッピングシステム(Irysシステム)の最適化を進め、実際の試料に応用した。東大柏拠点では、1細胞解析技術を整備し支援に供するとともに、Nanopore MinIONを用いた一連の要素技術開発を進めた。九大拠点では微生物ゲノムのNGS解析最適化を進めた。札幌医大拠点ではLiquid Biopsyによる体細胞における低頻度変異検出技術開発を進めた。③高度情報解析支援ネットワーク活動では、支援から浮かび上がった課題を解決するソフトウェアの開発を進めた。支援で特に活用されたものは、真核2倍体用denovoハプロタイプアセンブラPlatanus2(東工大)、染色体大規模構造変異高精度検出アルゴリズムCOSMOS、変異解析結果の信頼性を評価するソフトウェアEAGLE(以上、産総研)、エクソン・イントロン境界におけるスプライソソーム結合頻度の解析パイプライン(東大)、であった。また、CLIP-seqデータの解析パイプライン、高速オルソログ同定プログラムSonicParanoid、ロングリード向けアラインメントツールminialign(以上、東大)は今後の活用が予想される。高度化等の成果として48報の論文発表がなされた。
著者
伊藤 武彦 田原 俊司 朴 媛淑
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.75-84, 1991-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
24
被引用文献数
1 2 3

In a Japanese agent-patient-action type sentence, an agent is marked by the nominative particle GA and a patient is marked by the accusative particle 0. The aim of the present study was to compare the cue strength of 0 with that of GA in sentence comprehension of agent-patient relations and to find their developmental process. Because 0 is semantically simpler than GA, it was hypothesized that (1) the cue strength of 0 was stronger than that of GA and (2) the acquisition period of the former particle was earlier than that of the latter in Japanese children. Eighty Japanese native speakers of 5, 6, 7, 9, 11, 13, 15 years old and adults were instructed to listen to simple sentences and to judge which noun was the agent in an act out method by using miniature animals and objects. Stimulus sentences consisted of 27 sentence types composed of word order×particle×noun animacy combinations. The results were compared with Ito and Tahara (1986). The hypotheses were both verified.
著者
本郷 裕一 山田 明徳 伊藤 武彦 猪飼 桂 守川 貴裕 髙橋 雄大
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

シロアリの餌である木片の消化の大部分は、シロアリと1.5億年以上前に共生を開始した腸内原生生物群集が担っているが、それら原生生物の起源や共生に至った過程は未知である。本研究の主目的は、木質分解性原生生物を進化過程で喪失した「高等シロアリ」の一系統群が比較的最近、新規な木質分解性原生生物を再獲得した可能性の検証である。結果、新規原生生物は多様な高等シロアリに共生しているものの、多数の原生生物細胞が見られるのはやはり一系統群のみであること、同原生生細胞質が木片で充満していること、同原生生物を含む腸画分はセルロース分解活性を有することなど、今後の研究の基盤となる重要な情報を得ることができた。
著者
井上 孝代 伊藤 武彦
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.298-304, 1997-10-28 (Released:2010-07-16)
参考文献数
24
被引用文献数
3 4

The aim of the present study was to show relationship between acculturation attitudes and mental health of international students in their first year in Japan. Of 53 new international students at a university, 50 (36 male and 14 female), 19.2 years old on average, completed a questionnaire in May (one month after the arrival), October (six months later), and March of the following year (the last month of the first academic year). The questionnaire consisted of two parts: Acculturation Attitude Scale and SCL-90-R Mental Health Scale. The former was based on Kim (1988) and measured four types of acculturation attitudes: Integration, Assimilation, Separation, and Marginalization (Berry, 1990, 1992; Berry, Trimble, & Olmedo, 1986). Results indicated that effects of acculturation attitudes on mental health of international students became clear in the last month of their first year. It is argued that helping students' integration attitude has beneficial effects on their mental health.
著者
白髭 克彦 広田 亨 須谷 尚史 伊藤 武彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

出芽酵母、分裂酵母を用いた解析により、基本的な染色体情報解析システムのパイプラインは構築され、染色体の基本的な構造、染色体機能の制御、そしてその連携機構についていくつもの新しい発見があった。特に、本研究が契機となりひと染色体構造の解析技術を構築できた意義は大きい。興味深い発見につながったものとして、1)ヒトに於いて、ChIP-chip解析が可能となったこと、および、2)ヒトコヒーシンのChIP-chip解析から明らかとなったコヒーシンの転写に於ける機能の発見、があげられる。当初、本研究を開始した時点では、ヒト染色体でChIP-chip解析を行うことは、ゲノムの5割を超える繰り返し配列がPCRで増幅する際のバイアスとなるため不可能であった。そこで、この増幅法の検討を重ね、DNAをin vitro transcriptionにより、RNAとして直線的に増幅し、リピート配列によるバイアスを抑制することで、ヒト染色体構造もChIP-chip解析可能な系を構築することが出来た。さらに、この技術を用いて、コヒーシンについて、効率の良い染色体免疫沈降が可能な抗体を取得し、ヒト染色体上における局在解析を行った。その結果、染色体分配に必須の役割を持つコヒーシンがヒトではその機能とは独立にインシュレーターとして転写制御に機能していることが明らかとなった。
著者
汪 達紘 筒井 研 佐野 訓明 益岡 典芳 伊藤 武彦 荻野 景規
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、酸化的ストレス誘発有害物質の評価法の開発とその実用化を目指している。平成17〜19年度にわたってマウス由来のカタラーゼ変異遺伝子導入大腸菌(Cs^a:正常カタラーゼ活性菌、Cs^b:低カタラーゼ活性菌)を用い、CAT Assayにより化学物質の細胞毒性等について検討し、以下の成績を得た。市販の染料であるヘンナ製品(タトゥーや髪染め等)及びその抽出物であるローソンを各菌株に曝露させると濃度依存的な細胞障害を示され、その障害が各菌株のカタラーゼの活性とは負の相関であった。また、ローソンの曝露濃度依存性にH_2O_2の生成上昇を確認した。更に抗酸化物質catalase、 capsaicin、 ascorbic acid等で前処理された菌株にヘンナ製品及びローソンの投与により細胞毒性は減少した。金属キレート剤であるジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)をローソンと一緒に各菌株に曝露するとDTPAの曝露濃度が高ければ高いほど各菌株の生存率が上がり、量-反応関係が見られた。ジチオトレイトール(DTT)は、チオール性抗酸化物質として広く使用されているが、活性酸素種を産生し酸化促進剤として作用することも報告されている。CAT Assayでは、Cs^a、 Cs^bともDTT濃度依存性の細胞毒性が見られ、両者の間には有意な差異が認められた。Catalaseの添加により、DTTの細胞毒性を完全に抑制され、ascorbic acid、 catechin及びresveratrolもDTT毒性の予防に有効であった。CAT Assayの実用性について、医療廃棄物の処理残渣及び一般廃棄物の焼却灰を用いて検討した。3種類の有機溶媒及び滅菌水を用いて試料の抽出方法について比較した。水及びメタノールの抽出物による各菌株の増殖抑制はカタラーゼ活性と負の相関があり、検体の曝露量が高ければ高いほど各菌株の生存率が下がり、カタラーゼ活性に依存していることが示唆された。アセトン及びヘキサンの抽出物は各菌株に影響を示さなかった。本研究で確立したCAT Assayは、酸化的ストレス誘発有害物質の評価法として応用が可能であると考えられる。