著者
赫 英紅 佐野 輝男
出版者
日本土壌微生物学会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.104-108, 2011-11-01
参考文献数
10

リンゴ樹葉圏から高い頻度で分離される非病原性及び病原性の真菌と細菌41種を選定し,真菌はrDNA-ITS,細菌は16S rDNAから各種に特異的な40塩基を抽出し,リンゴ葉圏主要真菌・細菌検出用オリゴDNAマクロアレイを作成した。検出限界は10^2-10^3CFU,培養性・難培養性及び病原性・非病原性を含むリンゴ葉圏に生息する主要な真菌・細菌類を同時に検出可能で,検出シグナルの強度は生息密度を反映していた。青森県弘前市周辺の慣行防除園,特別栽培園,JAS有機栽培園,自然農法実践園の4園地を調査対象として,病害発生状況とリンゴ葉圏に生息する主要な病原性・非病原性真菌・細菌の動態を分析した。慣行防除園と特別栽培園では栽培期間を通じて目立った病害の発生は認められなかった。JAS有機栽培園と自然農法実践園では,開花期にモニリア病,6月上旬から黒星病,6月後半から斑落或は褐斑病斑が発生した。マクロアレイ分析の結果,一般に真菌ではAurerobasidium, Cladosporium, Cryptococcus,細菌ではSphingomonas, Pseudomonas, Bacillusなどが優占していた。慣行栽培園では真菌・細菌の種の多様性に乏しく,生息量も少なかった。自然農法実践園では栽培期間を通じて黒星病菌が優占し,Auyeobasidiumが顕著に少なく,他の園に比べて多様な種が生息していた。
著者
佐野 輝男 千田 峰生 種田 晃人 R.A. Owens
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ノンコーディングRNA病原体"ウイロイド"の自己複製能と病原性をRNAサイレンシングの観点から解析した。ウイロイド感染植物に誘導されるウイロイドを標的とするRNAサイレンシングにより、ウイロイド分子は少なくとも5箇所のホットスポットが標的となり分解され、多様なウイロイド特異的small RNAが宿主細胞内に蓄積することを明らかにした。ウイロイドは想像以上に複雑な機構でRNAサイレンシングの標的になっていると考えられるRNA配列の類似性を基に2次構造を予測する新しいプログラムを開発し、RNAの自己複製と分子構造の関連性を解析するための基盤を構築した。