著者
小野 俊朗 平松 竜一 久保田 尚浩 依田 征四 高木 伸友 島村 和夫
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.779-787, 1993 (Released:2008-05-15)
参考文献数
24
被引用文献数
7 5

ブドウ'ピオーネ'の無核果栽培において,同一園で毎年着色が良好な樹と不良な樹を用いて,着色に違いが生じる原因を新梢生長や果実発育の面から検討した.新梢伸長,新梢当たりの葉面積および葉のクロフィル含量には着色良好樹と不良樹の間に差はほとんど認められなかった.単位面積当たりの収量は着色不良樹よりも良好樹でわずかに多かった.果粒肥大にも両者に大きな差はなかったが,不良樹では果粒軟化日が良好樹よりも約5日遅かった.果皮色は,果粒軟化後から成熟時まで常に着色良好樹で優れ,とくに軟化後2~3週間以降の差が顕著で,成熟時のアントシアニン含量は着色良好樹が不良樹の約2倍であった.屈折計示度は,成熟期間をとおして着色良好樹で高く,とくに果粒軟化後約3週間以降に両者の差が大きく現れた,果肉の糖含量の変化もほぼ同様であったが,その組成比には良好樹,不良樹間に差がなかった.