著者
倉藤 祐輝 尾頃 敦郎 藤井 雄一郎 小野 俊朗 久保田 尚浩 森 茂郎
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.425-431, 2008 (Released:2008-07-25)
参考文献数
21
被引用文献数
5 5

ブドウの早期成園化と高品質な果実の多収を目的に,灌水同時施肥による超密植栽培システムを開発した.本システムは,根域を制限せずに,10 a当たり800本以上の挿し木苗を超密植し,樹冠下に不透水性マルチシートを設置し,自動灌水制御装置と液肥混入器および点滴灌水チューブを用いて,生育ステージに応じて灌水と施肥を同時に行う方式である.定植2年目には成園並みの果実生産が可能であった.果実品質と収量に及ぼす新梢密度の影響を調査したところ,着果基準を15果房・m−1と設定した場合,新梢密度を10~20本・m−1とすることで,果粒重,糖度および果皮色の優れた果実の多収生産が可能であることが明らかとなった.以上の結果から,本方式での3か年の果実品質と収量から,年間の灌水同時施肥基準を策定した.
著者
中山 睿一 小野 俊朗 上中 明子 野口 雄司
出版者
岡山大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

1.CHP(cholesterol hydrophobized pullulan)は、プルラン鎖に、コレステロールを配したナノパーティクルである。CHPとNY-ESO-1蛋白の複合体をDCにパルスし、健常人から得たCD8T細胞をin vitroで刺激し、特異的な反応の誘導を検討した。2回以上の刺激で特異的CD8T細胞の反応が認められた。同じ、CHP-NY-ESO-1複合体パルスDCを用いてCD4T細胞を刺激して、同様に特異的に反応が誘導されるか否かを検討した。やはり、2回以上の刺激でCD4T細胞の反応が誘導された。オーバーラップペプチドを用いて、DR1501拘束性の新しいエピトープを同定した。このように、DC細胞は、CHP-NY-ESO-1複合体を取り込んで、クラスIおよびIIのいずれのエピトープも発現することを明らかにした。2.CHP-NY-ESO-1を用いた臨床試験を開始した。臨床試験プロトコルは、ニューヨーク、ラドウィック癌研究所および岡山大学大学院医歯学総合研究科で承認された。第一目的は、安全性およびNY-ESO-1に対する免疫能の検討で、第二目的は、腫瘍の反応を観察することである。2週おきに4回投与する。他に有効な治療法がない進行癌患者を対象とする。現在、参加登録患者は4名で、その内訳は、食道癌(IV期)1名、および前立腺癌(D期)3名である。現在、評価可能患者数は3名であるが、3名ともに強い抗体産生が認められた。抗体認識エピトープの解析では、特に抗原性の強いエピトープが認められた。CD8およびCD4T細胞の反応は、比較的早くから認められた。腫瘍に対してもある程度の効果を認めた。
著者
中山 睿一 小野 俊朗 上中 明子 小野 俊朗 上中 明子
出版者
岡山大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

がんワクチンとして用いるがん抗原は、がん特異的が高く、さらに免疫原性が強いことが必須である。われわれは、新しいがん抗原CCDC62、HERV-KおよびXAGE-1bを見出し、特異性および免疫原性に優れていることを明らかにした。また、がん・精巣抗原NY-ESO-1の全長タンパクを用いて、がんワクチン臨床試験を実施し、がん患者には、免疫が誘導されることを明らかにした。さらに臨床効果も認めた。
著者
小野 俊朗 平松 竜一 久保田 尚浩 依田 征四 高木 伸友 島村 和夫
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.779-787, 1993 (Released:2008-05-15)
参考文献数
24
被引用文献数
7 5

ブドウ'ピオーネ'の無核果栽培において,同一園で毎年着色が良好な樹と不良な樹を用いて,着色に違いが生じる原因を新梢生長や果実発育の面から検討した.新梢伸長,新梢当たりの葉面積および葉のクロフィル含量には着色良好樹と不良樹の間に差はほとんど認められなかった.単位面積当たりの収量は着色不良樹よりも良好樹でわずかに多かった.果粒肥大にも両者に大きな差はなかったが,不良樹では果粒軟化日が良好樹よりも約5日遅かった.果皮色は,果粒軟化後から成熟時まで常に着色良好樹で優れ,とくに軟化後2~3週間以降の差が顕著で,成熟時のアントシアニン含量は着色良好樹が不良樹の約2倍であった.屈折計示度は,成熟期間をとおして着色良好樹で高く,とくに果粒軟化後約3週間以降に両者の差が大きく現れた,果肉の糖含量の変化もほぼ同様であったが,その組成比には良好樹,不良樹間に差がなかった.
著者
今村 基尊 山本 妙子 小野 俊朗 今村 節子 会田 栄一 黒須 一夫
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.607-613, 1991-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
15
被引用文献数
2

乳歯隣接面齲蝕の診査に咬翼法X線写真を用いることで,齲蝕検出率が高まることはよく知られているが,患者の被爆線量から,頻回撮影することも好ましくない.咬翼法X線写真の撮影回数を減らすために,補助手段としてデンタルフロスによる診査の併用を考え,咬翼法X線写真による診査の結果とデンタルフロスによる診査の結果との関係について検討し,次の結論を得た.1)咬翼法X線診査の結果とデンタルフロスによる診査の結果との一致率は,67.1%~94.3%であった.2)上下顎第一乳臼歯遠心面・第二乳臼歯近心面において,フロスにより異常を感じたならばまず齲蝕があったが,フロスによりsmoothと感じても齲蝕がないとは診断しがたい.3)フロスによる乳歯側方歯群の隣接面齲蝕の診査は,咬翼法X線写真の補助的診査として用いることができると考えられた.
著者
福田 理 田中 泰司 柳瀬 博 小野 俊朗 河合 利方 黒須 一夫
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.29-35, 1995-03-25
被引用文献数
7

本学小児歯科外来を訪れた心身障害児のうち,通常のトレーニング実施後も歯科治療に対する協力性が充分得られなかった54名を対象とし,笑気吸入のためのトレーニングに加え,笑気吸入鎮静下で歯科治療に対する適応性を高めるためのトレーニングを実施後,笑気吸入鎮静法下で歯科治療を行い,その臨床効果と発達年齢との関連について検討し,以下の結果を得た.<BR>発達年齢が3歳以上の患児では,本法応用によりその約72%が笑気吸入下で協力的に歯科治療を受け入れることが可能となったのに対し,3歳未満の患児では本法応用によっても約29%が笑気吸入下の歯科治療に適応できるのみで,両者間に統計的な有意差が認められた.<BR>以上の結果より,通常の対応法で歯科治療が困難であった心身障害児のうち,発達年齢が3歳以上に達している患児では,本法を応用することにより,歯科治療を協力的に受け入れるよう行動変容できる可能性の高いことが明らかとなった.
著者
久保田 尚浩 小野 俊朗 小原 章男 福田 文夫 片岡 郁夫
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

(1)ブドウ栽培用ランプの開発:発光ダイオードを使って、450と660nmにピークを持つランプおよび両波長を半分ずつ持つランプを試作した。(2)ブドウの生長と花房分化に対する光の作用性:ピオーネを供試し、上記のランプおよび730nmにピークを持つランプで長日処理(16時間日長)した。660nmでは新梢生長が最も優れ、花房原基数も他区の約2倍であった。ブドウ3品種を供試し、自然日長の異なる3時期(12月、2月、3月)からシリカ電球、育成用ランプおよび赤色光ランプで長日処理した。長日処理効果は、新梢生長ではピオーネで最も大きく、次いでデラウエア、マスカット・オブ・アレキサンドリアの順であり、また花房分化ではピオーネで大きかった。長日処理効果は、自然日長が短い時期ほど大きく、一方ランプによる差は小さかった。(3)ブドウ栽培における電照技術の開発:ピオーネの二期作において、二作目の新梢や果粒の生長を促すには14時間以上の日長が必要なこと、日長時間が長いほど処理効果が大きいこと、暗期中断処理は16時間日長よりも長日処理の効果が大きいことが明らかとなった。(4)紫外光によるブドウ果粒の着色促進技術の開発:UV-A照射はブドウ果皮のアントシアニン蓄積を促すが、その程度は品種によって異なること、成熟期後半だけの照射でもアントシアニン蓄積が促されること、その効果はPAL活性を介したものであること、品種によってはアントシアニン組成に違いが生じることなどが明らかとなった。(5)ブドウ果皮のアントシアニン合成におけるPALおよびmyb遺伝子の関与:幼果期の高いPAL活性は果実生長、成熟開始期の小さなPAL活性は着色に関係していると思われた。RT-PCR法によって3種類のPAL遺伝子断片と6種類のmyb遺伝子断片を得た。このうち、アントシアニン合成に関わる遺伝子は主としてmyb11.PAL5およびPAL14であると推察された。
著者
香西 克之 鈴木 淳司 内川 喜盛 木本 茂成 田村 康夫 中島 一郎 小野 俊朗 有田 憲司 新谷 誠康 福本 敏 海原 康孝 林 文子 土屋 友幸
出版者
日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.517-523, 2008-12-25
被引用文献数
3

本邦における小児歯科学教育の現状を調査するために,全国29歯科大学・大学歯学部の小児歯科学担当講座(分野)に対してアンケート調査を行った.アンケートは小児歯科学授業(講義),基礎実習,臨床実習の3項目について行った.アンケートの結果から以下の実態が確認された.授業では,ほとんどの大学で小児歯科,あるいは成長,発達などの小児歯科学と関連のあるシラバスの科目名称を有していたが,小児歯科学単独のシラバスを持たない大学もあった.授業時問は平均55時間程度であったが,最も少ない大学と多い大学では6倍の差があった.基礎実習は平均35時間行われていたが,国公立大学の平均に比べ私立大学は有意に多かった.臨床実習実施期間は平均11.9か月で大学間の差は少なかったが,実施時期は国公立大学に比べ私立大学が約6か月程度早期に行われていた.また,臨床実習での学生の参加形態や評価方法などは大学問で大きな差があった.<BR>以上のことから,小児歯科学の教育は各歯科大学・大学歯学部で大きな差があることが確認された.特に授業時間や実習時間は私立大学が多い傾向にあった.また臨床実習の実習期問は大学問で大きな差はないが,開始時期は私立大学が国公立大学に比べ有意に早いことが示された.
著者
久保田 尚浩 ポジャナピモン チャイワット 福田 文夫 藤井 雄一郎 小野 俊朗 倉藤 祐輝 尾頃 敦郎 功刀 幸博 小林 和司 茂原 泉 山下 裕之 藤島 宏之
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.98, no.1, pp.9-16, 2009-02

This study was conducted to investigate the relationship between completion of dormancy of grapevinebud and temperature. Canes of 'Kyoho' and 'Pione' grapevines (Vitis labrusca×V. vinifera) grown in 7 vineyards with different temperature conditions, in Nagano, Northern Okayama, Yamanashi, Okayama, Okayama University, Fukuoka and Miyazaki, were collected at three different chilling exposures,December, January and February. These were then sent to Okayama University all at the same time. Cuttings with one bud were put into growth chambers kept at 25 or 30°C with 14 hours daylength, and budbreak in each cutting was surveyed at two day intervals for 60 days. Cumulative chilling hours (CCH) of exposure to below 7.2°C in each treatment time was largest in Nagano, followed in order by Northern Okayama, Yamanashi, Okayama, Okayama University, Fukuoka and Miyazaki. The CCH in Nagano was 2.5 to 4.8 times larger than in Miyazaki depending on the treatment time. The later the treatment time and the higher the temperature, the fewer were the number of days to first budbreak (NDFB) after treatment, irrespective of cultivar. A similar trend was observed in the number of days to 60% budbreak. In 'Kyoho' the NDFB was short in Nagano, Okayama University and Miyazaki, and longer in Okayama, Yamanashi and Fukuoka. In 'Pione' the NDFB was short in Fukuoka and Okayama University, and longer in Yamanashi and Okayama. The result was a weak negative correlation observed between CCH and NDFB in 4 of 7 vineyards. However, there was a strong positive correlation between NDFB and cumulative temperature (CT), a summation of temperature and hours of exposure to above 0°C from November 1 to treatment time and hours of exposure to 25 or 30°C from start of treatment to budbreak in each plot, in 6 vineyards excluding Miyazaki. The importance of estimating the completion of dormancy in grapevine bud based on CT is discussed.ブドウの芽の休眠完了と温度との関係を調査するため,温度条件の異なる7園(中信農試,山梨果試,岡山農試,岡山農試北部支場,岡山大学,福岡農試および宮崎)で栽培されている'巨峰'と'ピオーネ'から低温遭遇量の異なる3時期(12月,1月,2月)に結果母枝を採取した.直ちに岡山大学に送り,1芽を持つ挿し穂に調整した後,25または30℃のインキュベーター(14時間日長)に入れ,2日間隔で60日間発芽を調査した.処理開始時の7.2℃以下の遭遇量は中信農試で最も多く,次いで岡山農試北部支場,山梨果試,岡山農試,岡山大学,福岡農試,宮崎の順で,中信農試と宮崎では処理時期により2.5~4.8倍の差があった.発芽所要日数は,両品種とも処理時期が遅いほど,また温度が高いほど少なく,60%発芽所要日数もほぼ同様の傾向であった.'巨峰'の発芽所用日数は中信農試,岡山大学および宮崎で少ない一方,岡山農試,山梨果試および福岡農試で多く,また'ピオーネ'では福岡農試と岡山大学で少なく,山梨果試と岡山農試で多かった.7園のうち4園で低温遭遇量と発芽所要日数との間に負の相関がみられたが,相関係数は低かった.一方,11月以降処理開始までの0℃以上の温度の積算値と処理開始から発芽までの25または30℃での積算値を合計した積算温度と発芽所要日数との間には1園を除き極めて高い正の相関が認められた.これらの結果を基に,積算温度によるブドウの休眠完了予測の可能性を考察した.