著者
村田 大樹 花北 順哉 高橋 敏行 北浜 義博 倉石 慶太 渡邊 水樹 上坂 十四夫 福井 伸行 鈴木 洋司
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.9, pp.731-735, 2012 (Released:2012-10-29)
参考文献数
15

Amyotrophic lateral sclerosis (ALS) の初期症状は多彩であり, その初期診断は困難であることが指摘されている.  今回われわれは, 腰部脊柱管狭窄症と診断し手術加療を行ったが, 病状が進行し最終的にALSと診断された症例を経験した.  症例は68歳男性. 腰痛を伴う歩行障害を主訴に来院. 画像上L4/5の椎間板ヘルニア, および脊柱管狭窄症を認めたため椎弓切除術を施行したが, 症状の改善を認めず, 術後から下肢の筋力低下, 筋萎縮, および呼吸障害が出現し急速に進行した. 最終診断はALSであり, 術後4カ月の経過で死亡された.  今回, 本症例の経過を報告するとともに, 腰痛, 下肢症状を初発症状とするALSについての文献的考察, および手術, 麻酔操作がALSの自然経過に及ぼす影響につき考察を加えた.
著者
伊藤 不二夫 伊藤 全哉 中村 周 柴山 元英 倉石 慶太 河合 将紀 山田 実 星 尚人 吉松 弘喜 三浦 恭志
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1.2, pp.22-31, 2021-01-20 (Released:2021-01-20)
参考文献数
10

はじめに:脊椎後方除圧術として観血法,顕微鏡下除圧術,内視鏡下除圧術,経皮的内視鏡下除圧術等を行ってきたが,今回導入した片側進入双穴内視鏡Unilateral Biportal Endoscopy(UBE)の臨床経験を報告する.対象と方法:脊柱管狭窄症56例,椎間孔狭窄症3例,ヘルニア5例の計64例を手術した.傍棘突起部で椎間板レベルの1 cm頭側に4 mm径の内視鏡ポータルを作成する.それより2 cm尾側の8 mm径作業用ポータルから,ラジオ波,4 mmダイアモンドバー,直・弯曲ケリソン,剥離子,鉗子等を使用する.結果:手術時間は初期2時間が,20例以降1時間に短縮した.下肢症状・腰痛VASは有意に減少した.Macnab評価の満足率は83%であった.術後血腫はなかった.硬膜損傷は2例にあり,fibrin patch法で修復した.結語:持続水灌流の鮮明視野下で,レンズ先端は組織に近接し毛細血管も拡大され,止血が丁寧にできるため,術後血腫が少ない.外筒は使用せず器具の作業範囲に制限がなく,骨掘削量が少なくて済む.