著者
元田 良孝 宇佐美 誠史 堀 沙恵
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.B_1-B_5, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
6
被引用文献数
2

ここでは運転免許更新時の高齢者の意識を調査し、主として自己の運転評価と運転免許返納意識について分析を行った。盛岡運転免許センターに更新の手続きに来た70 歳以上の 155 名にアンケート調査を行った結果、運転頻度が低い人、運転の自己評価の低い人、苦手な運転行為がある人は運転免許返納の意識が比較的高いことが明らかになった。高齢運転者が運転免許更新時の実技で指導員による指摘と自分の意識する苦手な運転に違いがあり、自己評価とのギャップが存在する。返納を促進するためには公共交通等の整備とともに運転免許更新時等で自分の客観的な運転技量を認識させる必要がある。
著者
元田 良孝 宇佐美 誠史 湯田 直人
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.B_40-B_46, 2015-02-06 (Released:2015-02-06)
参考文献数
8

東日本大震災で被災した JR 気仙沼線、大船渡線、山田線では鉄道事業者から臨時的な措置として鉄道敷を利用した BRT(高速バス輸送システム) が提案され、山田線を除き運行が開始されている。しかし鉄道の復旧を望む地元自治体の意向も大きく、BRT の是非について大きな論点となっているが、住民の意見は明らかになっていない。ここでは最も早く BRT の運行が開始された気仙沼線の BRT について気仙沼市民の意識調査を行い、BRT の評価と鉄道復旧意識等について調査を行った。その結果震災前と比べ利用者は減少したが、気仙沼線離れは運転免許保有者と自宅が駅から遠い者が多かった。鉄道復旧意識は高く、最も関係がある要因は、あったものを復旧させるのは当然との考えであった。BRT の評価も影響を与えており、評価が低い程復旧意識が高くなることも明らかとなった。
著者
首藤 伸夫 米地 文夫 佐藤 利明 豊島 正幸 細谷 昂 元田 良孝
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1.終戦直後の開拓事業から展開してきた岩手山麓の農業は販売農家率が高く、後継者の同居率が高い。当該地帯は、被災後にも農業再建を目指す潜在力が高いと判断された。2.岩手山の約6000年前の噴火と、磐梯山1888年噴火は極めて類似しており、磐梯山での住民の対応記録の分析で学んだことは、岩手山で災害が生起した際の避難行動のために、役立つ。3.住民の郵送調査と面接調査、防災マップの収集と分析、行政のヒアリング等を行い、高齢者の避難や冬季の避難の対策、防災マップのノウハウの蓄積が重要であることを示した。4.火山活動情報が岩手山周辺の宿泊施設等への入り込み数に与える影響の数量分析、宿泊施設への聞き取り調査、雲仙普賢岳に事例を比較した総合的な考察を行った。5.災害の発生予測、被害緩和と訓練との関係の認知、予想被害の深刻さの認知、地域社会との関係の認知、避難訓練の参加コストの見積もり等が、住民の防災への対応に影響することを示した。6.災害時の通信に関しては、有効な方法をすべて調査し無線LANの優位性を示した。次に無線LANベースの情報ネットワークを構築し、その上でインターネットを利用する安否情報システムを開発した。さらに双方向ビデオ通信システムを開発し、実験で有効性を確認した。7.社会福祉分野における危機管理として、住民への直接的情報伝達におけるユニバーサルデザインの配慮が求められる。また、災害時の情報伝達システムには、ケアマネジメントとの連動、ニーズ変化等動的情報への対応、サポートネットワーク変容への視点が重要である。8.被災者の医療・看護体制に関しては、被災が予想される地域住民の健康状況及び防災調査の結果に基づき、災害弱者の避難方法、治療継続の保証を確保することに重点をおいて対策を実施した。弱者救援の組織化と慢性疾患患者の自己管理の情報提供である。