著者
光藤 英彦
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.363-375, 1994-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
14

鍼灸医学における穴位主治の伝承は, 古方における方と証に匹敵すると考えられる。しかし唐代以後, その伝承の整理にはほとんど手がつけられなかった。その最大の理由は, 明堂経の亡佚である。近年, 黄帝内経明堂類成の一部が我が国の仁和寺において発見され, この研究に端緒が生まれた。1980年代の善本の復刻事業がこの方面の研究に拍車をかけた。私共の研究も, この流れの一端に位置する。私共の研究の特徴は, 穴位主治条文の字列構成を解析するという方法論を用いている点と, 医心方穴位主治の執筆者の見識を研究対象にしている点にある。私共は, この2つの視点から, 穴位主治の伝承を整理し, 伝承の本来の姿を明らかにすることを試みた。
著者
代田 文彦 光藤 英彦 五十嵐 宏
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋醫學會誌 (ISSN:1884202X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.75-82, 1972-10-30 (Released:2010-10-21)
参考文献数
5

The local hypalgesia is revealed using the new method.The hypalgesia is brought by the needles which are charged with electric stimulus.The 270 cases of surgical operations are performed with this new method without any troubles.The features of the new method are as follows;1) The thin needles layed under the skin conducts the spike wave, 50-70 volt, stimulate time 7.5×10-5 sec, 1 Hz frequent.2) The hypalgesic zone is dependent on the stimulate points under the same condition mentioned above.3) The hypalgesic zone is found in 30-40 minutes.4) The hypalgesic zone is very different every persons respectively.5) This method has no medical troubles except the hypalgesic phenomena.
著者
山下 仁 光藤 英彦
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.359-365, 1991-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
3

当研究所のケアシステムの役割と課題について, カルテ群の調査とケーススタディーを通して検討した。カルテ群の調査から, 自宅施灸指導に対する調査対象患者のコンプライアンスは全般的には良好であるが, 女性の背部施灸のコンプライアンスは低いことがわかった。またケーススタディーから, いわゆる現代の専門医療と, 当研究所の東洋医学的ケアとの, identity の違いを明確にした。検討の結果, 灸療を活用した東洋医学的ケアシステムは, 今日の医療の中で, 補完的役割を担えることが示唆された。また, 灸療の効果的な活用を妨げる因子の一部について, より具体的な探索を行うことが出来た。
著者
山下 仁 光藤 英彦
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.300-307, 1992-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
4
被引用文献数
1

灸療をセルフケアという形態で指導することは, 身体レベルのみならず生活レベルにおいても応用価値が高いと筆者らは考えている。“セルフケアとしての灸療”を推進する上での問題点を明らかにするため, 愛媛県南部の農業地域の住民49名を対象に自宅施灸指導と質問紙調査を1年間行い, (1) 家庭内ケア力の未活性, (2) 施灸行動のもつ時間的拘束性, (3) 灸の熱刺激に対する不耐性, (4) 灸痕に関する皮膚科的障害, (5) 灸療の適応または応用技術の限界, (6) 灸療の推進活動に対する社会的抑制力, という6つの問題点を抽出した。なお, これらの問題点にはそれぞれ対策を検討する余地があった。
著者
山下 仁 光藤 英彦
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.358-364, 1990-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
5

日常生活の諸負荷に抗して人が支障なく生活を営む能力を“耐久性”と呼びたい。健康と病気とを異なった次元の価値をもつ概念として位置づけるとき,“耐久性”は健康の次元における健康レベルの具体的指標になると考えられる。病人の“耐久性の低下”を示す諸病症に注目して case study を行ったところ, 慢性健康障害をもつ病人に対して筆者等の行っている灸療が, 積極的なケアとして病人の健康レベルの向上に関与していることが示唆された。東洋医学的伝承医術を運用するにあたっては, 健康への指向性をももつことが可能である。