著者
児玉 佳一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.283-296, 2019-01-20 (Released:2019-02-02)
参考文献数
31
被引用文献数
2

本研究はグループ学習中における教師のモニタリングとサポートの特徴について,小学校5年生1学級における社会科の調べ学習の授業観察および教師への再生刺激インタビューにより事例的に検討した.教師にはウェアラブルカメラを装着してもらい,教師の視野からの授業映像の収集を行った.分析の結果,単元の前半では児童の学習への参加状況や学習者像を掴むために俯瞰的なモニタリングを行っていることが示された.内容面へのモニタリングは,「進行表」というツールを基に行っており,サポートについても進行表を媒介して行っていた.また,軌道に乗せたいという想いから,数多くまたは長めの教師から関与するサポートを提供していた.単元の後半では,リソースの配分に意識を向けて,グループ間差を捉えようとモニタリングを行っていた.また,軌道に乗ってきたという心的余裕から,サポートをしながら他グループへのモニタリングを行う様子も見られた.
著者
児玉 佳一
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45106, (Released:2021-07-16)
参考文献数
12

本研究は,学校教育を受ける日本人の協同作業認識が2010年以降にどのように変化したかを,長濱ほか(2009)の協同作業認識尺度における各因子の尺度得点の平均値に対する時間横断的メタ分析により検討した.2010年以降に調査された文献のうち,65研究(総サンプルサイズは5,189名)を分析の対象とした.重回帰分析の結果,掲載誌や件法,年齢段階を統制したとしても「個人志向」の平均値と調査年が関連していることが示された.具体的には,「個人志向」は最近の調査であるほど直線的に平均値が上昇していた.
著者
児玉 佳一 笹屋 孝允 川島 哲
出版者
日本教師学学会
雑誌
教師学研究 (ISSN:13497391)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-11, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
22

本研究は,都内公立小学校5年生1学級を対象に,教師と児童の“授業ルール”認識におけるズレの特徴について,「重要度」「優先度」「目的」の3点から検討した。「重要度」については授業ルールの重要度認識を測定する尺度,「優先度」については授業ルールが葛藤する場面を記述した場面想定課題,および「目的」については授業ルールの目的を尋ねる自由記述課題をそれぞれ実施した。その結果,「重要度」では,教師および児童とも授業ルールの重要度を高く認識していることが示された。一方で「優先度」および「目的」では,主に“友人を尊重するためのルール”と“秩序を維持するためのルール”においてズレが示された。これらの結果から,教師と児童の授業ルールの認識におけるズレは,児童が授業ルールを重要と認識していないために起きるのではなく,両者の優先する授業ルールや授業ルールの目的の理解が異なっているために起きることが示唆された。