著者
入江 充洋 鵤 満 伊藤 良一 三好 拓馬 栗谷川 優子 藤木 範之 チェンバーズ ジェームズ 内田 和幸
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.74, no.8, pp.503-507, 2021-08-20 (Released:2021-09-20)
参考文献数
10

トラネキサム酸(以下,「TXA」)は,本邦では安全性の高い催吐薬と認識されており,犬の催吐薬として多く用いられている.しかし,TXAを用いた催吐処置後に重篤な有害事象を呈した2例を経験した.1例は投与数日後にショック状態となり死亡し,病理組織学的検査により肺動脈血栓,肝臓のび漫性うっ血及び腎臓にアミロイド沈着が認められた.他の1例は,TXA投与後にてんかん重積状態を発症したが,数日間の抗てんかん薬の投与にて改善した.そこで,TXAによる催吐処置後の有害事象発生状況を把握する目的で,臨床獣医師にアンケート調査を実施した.その結果,15%の獣医師が有害事象を経験していた.最も多い有害事象は痙攣であった.
著者
入江 充洋 来田 千晶 石田 卓夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.468-473, 2016-08-20 (Released:2016-09-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1

国内でおもに1次診療を実施している動物病院26施設(北海道2,東北3,関東11,中部2,近畿3,四国1,九州2,沖縄2)に初診で来院した犬及び猫の腫瘍の発生状況を調査した.犬では初診19,870例中1,902例(9.6%),猫の初診6,008例中334例(5.6%)が腫瘍症例であった.確定診断された悪性腫瘍は犬では肥満細胞腫,リンパ腫,悪性黒色腫が上位を占め,猫では,リンパ腫,悪性乳腺腫瘍,扁平上皮癌が上位を占めた.腫瘍症例のおよそ50%が腫瘍を主訴に来院していた.犬と猫の両方で,高齢で悪性腫瘍が多い傾向がみられた.また犬では,大型犬種に悪性腫瘍が多い傾向がみられた.