著者
八木 こずえ 鈴木 麻記子 坂井 美加子 北村 育子 阿保 順子
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.12-23, 2008 (Released:2017-07-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究は、地域生活を営む初発の統合失調症患者に対して、自我強化に焦点をあてた看護面接を実施し、寛解期以降の生きにくさの本質と、看護面接の構造を明らかにすることを目的とした。対象は青年期の初発の患者3名である。面接は精神科看護経験3年以上の面接者3名が、生活体験を自我にフィードバックすることを主眼に行った。面接記録から生きにくさの本質と面接方法を質的に抽出し、カテゴリー化した。その結果、対象の生きにくさとは、【病気の本態に関連する生きにくさ】に対して【病気である自分に対する思い】と日々格闘しながら【他者との間で葛藤】し、【日常生活の制約】を強いられるという相互関係があった。またそれが、自己を確かな者と感じることを妨げており、その【不確かな自己】がさらに生きにくさを助長する構造をなしていた。面接者は迷いや限界、自分の傾向性をはじめ、患者の可能性に気づく体験をしており、最終的には【患者の鏡になる】役割を果たしていた。