著者
兵頭 昌雄 大岩 忠彦 岩澤 宏哲 清水 英寿 中山 一大 藤江 康光 堀越 哲郎
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 開発工学部 (ISSN:09177612)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.213-222, 2000-03-10
被引用文献数
1

真核生物のリボソーム遺伝子(rDNA)は,ゲノム内で反復配列として数百コピー存在し,核小体の中心を形成している。このDNA領域の塩基配列は分子進化学における研究対象となっている。我々の研究室で維持されている4系統の日本産メダカ(0ryzias latipes)における18S rDNA領域の構造について研究する目的で,このDNA配列をPCR法により増幅する条件について検討した。その結果得られた最適条件は,(1)鋳型DNA量;100ng,(2)プライマー濃度;0.2μM,(3)変性;94℃1分,アニーリング;60℃1.5分,伸張;72℃2分,(4)サイクル数;35,であった。この条件下で約1.8kbと比較的長いDNA鎖である18S rDNAが増幅でき,その反応液中の収量は19.5ng/μ1であった。18S rDNAの収量をさらに増加させるために,PCR産物を鋳型として再増幅することを試みた。しかし,再増幅では,1.8kb以外の長さの異なるバンドも増幅されており,有効ではないことが明らかになった。つぎに4系統のメダカ(近交系野生型クロメダカ〔HB-32C系統〕,沼津市浮島地区で採取された野生型クロメダカ〔BMT系統〕,体色に関する変異株であるヒメダカおよびアルビノ〔i/i系統〕)のゲノムDNAをもとにPCRにより18S rDNAを増幅した。その結果いづれの系統のDNAからもほぼ同量の18S rDNAが得られ,ゲノムあたりのコピー数は一定であることが示唆された。