著者
香川 靖雄 岩本 禎彦 蒲池 桂子 田中 明 川端 輝江 中山 一大
出版者
女子栄養大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

目的:健康維持に不可欠なEPA,DHAの摂取量が殆どない菜食者の中で、Δ5脂肪酸不飽和化酵素の遺伝子多型rs174547のC型ではALAからのEPA,DHA合成能が低いためその健康状態を研究した。結果:DHA摂取量0gの純菜食者+乳菜食者の血清と赤血球脂肪酸はTT型に比べてALAはC/CC型で増加し、血清EPA,DHAは減少し、ω3指数(赤血球EPA+DHA)は3.2に減少していたがAAの減少も著明であった。純菜食+乳菜食の健康状態は国民健康・栄養調査の一般日本人の健康度を上回り多型間に差が無かった。健康度はEPA/AA比の増加とDHA保持能増加で低いDHA摂取量を補償すると推定した。
著者
兵頭 昌雄 大岩 忠彦 岩澤 宏哲 清水 英寿 中山 一大 藤江 康光 堀越 哲郎
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 開発工学部 (ISSN:09177612)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.213-222, 2000-03-10
被引用文献数
1

真核生物のリボソーム遺伝子(rDNA)は,ゲノム内で反復配列として数百コピー存在し,核小体の中心を形成している。このDNA領域の塩基配列は分子進化学における研究対象となっている。我々の研究室で維持されている4系統の日本産メダカ(0ryzias latipes)における18S rDNA領域の構造について研究する目的で,このDNA配列をPCR法により増幅する条件について検討した。その結果得られた最適条件は,(1)鋳型DNA量;100ng,(2)プライマー濃度;0.2μM,(3)変性;94℃1分,アニーリング;60℃1.5分,伸張;72℃2分,(4)サイクル数;35,であった。この条件下で約1.8kbと比較的長いDNA鎖である18S rDNAが増幅でき,その反応液中の収量は19.5ng/μ1であった。18S rDNAの収量をさらに増加させるために,PCR産物を鋳型として再増幅することを試みた。しかし,再増幅では,1.8kb以外の長さの異なるバンドも増幅されており,有効ではないことが明らかになった。つぎに4系統のメダカ(近交系野生型クロメダカ〔HB-32C系統〕,沼津市浮島地区で採取された野生型クロメダカ〔BMT系統〕,体色に関する変異株であるヒメダカおよびアルビノ〔i/i系統〕)のゲノムDNAをもとにPCRにより18S rDNAを増幅した。その結果いづれの系統のDNAからもほぼ同量の18S rDNAが得られ,ゲノムあたりのコピー数は一定であることが示唆された。
著者
中山 一大 石田 貴文
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第21回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.49, 2005 (Released:2005-06-07)

霊長類における精液凝集の程度は系統間で異なり、チンパンジーのような複雄複雌群の種ではより強固な凝集が観察されることから、繁殖構造の多様化と関連して進化してきた形質であることが示唆されている。セミノジェリン1タンパク質(SMG1)は、精液中に多量に存在し、トランスグルタミナーゼの標的部位を有する60アミノ酸のリピートを含む独特の構造を持っている。SMG1は凝集構造物の主成分であり、また60アミノ酸のリピート数が霊長類各種における凝集の程度と相関を示すことから、精液凝集の多様性の原因と考えられているが、実験的な証明は成されていなかった。本研究では、霊長類各種におけるSMG1の生化学的性質と精液凝集との関連性を明らかにするために、セルフリー翻訳系を用いてヒトならびにチンパンジーのSMG1を合成する実験系を確立した。SMG1のC末端に、Lumio Green蛍光色素と結合し、合成タンパク質の特異的な検出を可能にするタグ配列を付加した鋳型DNAを用いて、in vitroタンパク合成反応を行い、合成反応後の反応液をSDS-PAGE法で解析した。その結果、ヒトでは約50kD、チンパンジーでは90kDのタンパク質の合成が確認された。また、FactorXIIIaを用いたタンパク質架橋実験の結果、これらの合成タンパク質はトランスグルタミナーゼが触媒する共有結合で架橋されることが確認された。さらに、これらの合成タンパク質は非変性・非還元状態では非共有結合的に凝集することも示された。これらの結果は、ヒトならびにチンパンジーSMG1のin vitro合成が成功した事を示すものである。今回確立した系は、霊長類に限らず他の種をも対象にした比較生化学・生殖学的解析に利用可能である。