著者
山口 雄大 進 訓央 兼川 雄次 松浦 恒明 圓尾 明弘
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.96-100, 2020-03-25 (Released:2020-04-30)
参考文献数
5

脛腓骨骨折術後感染再燃にiMAP(intra-medullary antibiotics perfusion)が有効であった1例を経験したので報告する.症例は61歳男性.階段を踏み外した際に左足を捻ってついて受傷.エックス線写真で関節面に骨折線のある脛腓骨遠位骨幹部骨折を認め,locking plateとK-wireによる固定を行った.術後1か月時に創部より排膿を認め経静脈的抗菌薬投与開始,症状軽快し以降は血液検査上CRP陰性であった.術後10か月時に創部より排膿再発し,皮膚欠損も認めた.深部感染を併発したと判断し,抜釘・掻爬自家骨移植・一期的に髄内釘に置換し,脛骨にiMAP-pinを2本と皮下にセイラムサンプチューブを留置した.ゲンタマイシン40mg/50ml生理食塩水/dayを3箇所から持続注入し,創部より持続陰圧を行った.2週間後にiMAP-pin抜去し,アンピシリン/スルバクタム点滴投与を2週間継続したところ,創部は徐々に閉鎖していった.以降感染再燃所見は認めず,疼痛なく歩行可能で経過している.圓尾らが開発したiMAP-pinは従来使用されていた東北大式骨髄針よりも抜けにくい構造となっており,骨接合術後の感染に対する治療法として有効であった.
著者
李 容承 松浦 恒明 進 訓央 兼川 雄次 谷口 秀将
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.40-42, 2016-03-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
12

3例と症例数は少ないが,肩関節前方脱臼に対して上腕近位部を外側に水平移動させることで上腕骨頭が関節窩の前縁を越えるようにして整復することができた.本法は,脱臼時の肢位のまま整復するため,侵襲が少ないと言える.多くの場合,救急外来における肩関節前方脱臼の整復法の第一選択は前方挙上法で,第二選択がStimson法やヒポクラテス法であるが,Stimson法は腹臥位・長い整復時間を要するし,ヒポクラテス法は骨折や腋窩神経損傷を起こす恐れがある.第一選択の前方挙上法で整復できない場合,第二選択として本法を試すことは有意義かもしれない.