著者
内田 宗志 中島 裕貴
出版者
学研メディカル秀潤社
巻号頁・発行日
pp.604-615, 2019-04-25

大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)の診断指針に基づき,診断に必要な画像知識を自身の症例を提示して解説する.術後成績不良因子として高度の軟骨損傷を有する場合は,術前に高度の軟骨損傷を読み取ることが大切である.FAIの二次的変化として,os acetabuli, calcified deposit, herniation pitやlinear indentationなどを関節鏡と並べて提示する.FAIに対する関節鏡視下手術は最近5年間で飛躍的に進歩しており,最新の術式は低侵襲であり,満足度の高いものである.
著者
青山 倫久 林 英俊 竹内 大樹 福留 千弥 太田 夏未 中村 崇 清水 勇樹 宇都宮 啓 内田 宗志 綿貫 誠
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】近年Femoroacetabular Impingement(以下FAI)患者におけるCore stabilization training(以下体幹トレーニング)の治療効果がケーススタディレベルではあるが報告されている。我々は第50回日本理学療法学術大会で,FAI患者を一般的な殿部トレーニングを行う群とそれに体幹トレーニングを加えた群とに分け比較し,体幹トレーニングを加えた群で有意に疼痛や股関節スコアが改善したことを報告した。しかしながらFAI患者においてどの体幹筋に機能低下が存在し,アプローチすべきかは明らかになってはいない。本研究の目的は,内腹斜筋(以下IO),外腹斜筋(以下EO)に着目し超音波診断装置(以下US)を用いてFAI患者の体幹筋の筋動態を観察し,健常人の筋動態と比較検討することである。【方法】対象は,当院でFAIと診断された患者12名(男性5名,女性7名,平均年齢41.8歳)をFAI群とし,股関節痛および腰痛の既往のない健常成人男性17名(平均年齢26.0歳,BMI:21.9)を健常群とした。US(HITACHI社製Noblus)の7.5MHzLinerプローブを用い,安静時,下肢の自動伸展拳上(以下ASLR)時および抵抗下SLR時のIOとEOの最大筋厚を計測した。測定位置は臍レベルで腹直筋鞘と内外腹斜筋を描出できる部位で体幹の長軸に対し短軸走査として測定した。抵抗下SLRはBealsらの報告に基づき体重の6%にあたる4kgの重錘を足部に着用して行った。ASLR時および抵抗下SLR時筋厚の安静時筋厚に対する割合を算出し,各筋を対応のないt検定を用い群間で比較した。統計学的有意水準は5%未満とした。【結果】EOはASLR時にFAI群110%,健常群100%,抵抗下SLR時にFAI群115%,健常群107%とFAI群で有意な筋厚増加率を認めた(<i>p</i><.01)。IOはASLR時にFAI群103%,健常群107%,抵抗下SLR時にFAI群106%,健常群110%とFAI群で筋厚増加率の幅が小さく有意であった(<i>p</i><.01)。【結論】FAI患者は健常人に比べASLRや抵抗下SLRの運動課題を課した際にIOの筋活動が弱く,主にEOを使用して運動課題を遂行していた。BealsらはASLRのような低負荷の運動では同側のIOが主に活動するが,骨盤帯部痛患者はASLRが高負荷運動であるかのように腹壁全体を活動させると報告している。今回の我々の結果においてもFAI群でローカルマッスルであるIOが弱化していることで,EOが代償的に過度な収縮を強いられている可能性が考えられた。本研究よりFAI患者における体幹トレーニングにはIOが有用である可能性が示唆された。今後はFAI患者の体幹トレーニングにおいてIOを中心的に実施した縦断研究を行っていくことでFAI患者におけるIOトレーニングの有用性を証明していきたい。
著者
大木 弘治 内田 宗志
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.532-535, 2019-05-19

はじめに大腿骨寛骨臼インピンジメント(femoroacetabular impingement;FAI)は, 2003年にGanzらによって新たに提唱された概念であり,大腿骨や寛骨臼の形態 異常により,インピンジ(衝突)することで股関節痛が誘発され,さらには股関節 可動域制限を生じる。股関節唇損傷や変形性股関節症の一因として,広く認識さ れるようになった。 FAIは形態により,①大腿骨頚部の骨性隆起によるcam type,②寛骨臼縁の過被 覆によるpincer type,③その両者が併存するmixed typeの3タイプに分類される。 最初の治療は,投薬,リハビリテーションなどの保存療法が中心であるが,そ れでも改善しない場合,あるいはエリートスポーツ選手などでは手術療法が選択 肢の1つとなる。手術は,寛骨臼と大腿骨の膨隆部分を切除してインピンジメント を解消し,またインピンジメントにより損傷した関節唇を修復もしくは再建する が,最近ではより低侵襲な治療として,股関節鏡視下での手術が広く行われるよ うになった。 本稿では,筆者らがFAIの手術において行っているコツについて述べる。
著者
内田 宗志 近藤 みほこ
出版者
学研メディカル秀潤社
巻号頁・発行日
pp.1340-1343, 2019-09-25

Q1大腿骨寛骨臼インピンジメントの診断と治療において,放射線科のMRIの読影レポートに求める内容はどのようなものでしょうか?Q2疲労骨折とシンスプリントはどのように線引きをして,画像診断や読影レポートを記載すればよいのでしょうか?
著者
青山 倫久 綿貫 誠 内田 宗志
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.F-66-F-66, 2019

<p>【はじめに,目的】</p><p> 股関節唇損傷を合併した寛骨臼形成不全(DDH)に対し股関節唇修復術を併用した内視鏡下棚形成術を行った女性新体操選手の臨床成績を検討し,競技復帰に向けたリハビリテーションについて報告すること。</p><p>【方法】</p><p> 当院で股関節唇修復術および内視鏡下棚形成術を施行した女性新体操選手6例(平均年齢20.4歳)を対象とした。術後は当院のプロトコルに従い,4週目から段階的に荷重を行い,可及的に股関節可動域および股関節周囲筋力と体幹筋力の改善を図った。患者立脚型スコアとしてModified Harris Hip Score(MHHS),iHOT12,Vail Hip Scoreを用い,術前および術後最終フォローアップ時の臨床成績を比較した。</p><p>【倫理的配慮】</p><p> 対象にはプライバシー保護に充分配慮することを説明し,本学会の演題登録に関して同意を得た。</p><p>【結果】</p><p> 6例とも受傷前と同等の競技レベルまで平均8.5ヵ月で復帰した。iHOT12は術前42.2±24.1点から最終フォローアップ時92.9±16.1点へ有意に改善した(p<0.05)。同様にVail Hip Scoreも術前47.7±19.9点から最終フォローアップ時85.6±10.2点へ有意に改善した(p<0.05)。MHHSは術前後で有意差をみとめなかった。</p><p>【考察】</p><p> 本邦ではDDHの高い有症率が報告されている。股関節唇修復術を併用した内視鏡下棚形成術は,DDHを呈する女性新体操選手に好ましい臨床結果および高い割合での競技復帰をもたらす可能性がある。</p>
著者
下平 浩揮 内田 宗志
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.36-51, 2018-04-01

<画像診療のポイント>●寛骨臼形成不全は外方の被覆だけではなく、前方の被覆ならびに股関節の不安定性の評価も必要である。●大腿骨寛骨臼インピンジメントの画像評価は、正面、軸位に加えてDunn viewでも行う。●関節軟骨の評価には、MRIにおける脂肪抑制プロトン密度強調像、T2マッピングを用いる。●大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折のMRI骨頭内線状低信号は、関節面に対して平行であり、大腿骨頭壊死症は凸である。●Os acetabuliを認める場合、寛骨臼ならびに大腿骨頭から頸部にかけての骨形態の評価も必要である。●恥骨結合炎は、MRIにおける軟骨下板の前後方向における骨髄浮腫が特徴的な所見である。