著者
丸山 光紀
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.552-558, 2019-06-09

<Point>1 Mahaim束はatrio-fascicular/ventricular pathway、nodo-fascicular/ventricular pathway、fasciculo-ventricular pathwayの総称である。2 顕性Mahaim束の診断は心房ペーシング、潜在性Mahaim束の診断は種々の電気生理所見を総合的に判断して行う。3 Atrio-fascicular/ventricular pathwayとnodo-fascicular/ventricular pathwayではアブレーションのターゲットが異なり、鑑別が重要。
著者
加茂 実武 野崎 太希 堀内 沙矢 村石 懐 秋田 恵一
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.506-511, 2021-04-26

多くの教科書の記載とは異なり,上部尿路における生理的狭窄部位は,上部尿管と尿管膀胱移行部の2カ所のみである。また,画像検査で上部尿管にはしばしば高度の屈曲が認識されることがあるが,これもまた教科書の図説には見つけることができない。実はこれらの事項には共通する解剖学的背景が存在し,その成因を正しく知ることは新たな後腹膜の概念を理解するための1つの大切な手がかりとなる。本稿は第105回北米放射線学会(RSNA2019)に投稿した教育展示(UR154–ED–X)および『Japanese Journal of Radiology』掲載のreview1)に基づいた内容である。
著者
田中 稔 梅村 太 長岡 聡紀 岡 竜巳 高島 里奈 高橋 拓哉 平山 和哉
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.1020-1031, 2021-10-19

野球肩の効果的な運動療法を行うためには,投球動作で必要とされる運動機能の理解と機能的な問題点の把握が必須であり,それらの問題点の機能的な改善と投球動作を念頭に置いた運動連鎖と投球動作の再構築を行うことが最も有効な運動療法といえる。本稿では,痛みの出現する頻度が高いコッキング期とボールリリース・フォロースルー期での評価法と効果的な運動療法の詳細について解説する。
著者
小張 祐介 林田 健太郎
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.1165-1171, 2020-12-09

経カテーテル大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve implantation:TAVI)は,これまで複数の無作為化比較試験において,短期から中期において外科的大動脈弁置換術(surgical aortic valve replacement:SAVR)と比較して良好な臨床成績を収めており,外科手術リスクにかかわらず,より低リスク患者,またより若年者への適応が拡大している。2020年3月に発表された,日本循環器学会「2020年改訂版弁膜症治療のガイドライン」でも,gatekeeperとしての外科手術リスクスコアは削除され,75歳以下はSAVR,80歳以上はTAVIを第一に検討することが明記された。一方で,これまで周術期リスクが高く外科的治療を受けられずにいた高齢患者に対するTAVIの適応については,これまでにも多くの議論がなされているが,明確な基準はない。先述のガイドラインでも,超高齢者,寝たきりや認知症患者への安易な介入は慎むべきとされており,弁膜症チームにおける慎重な検討が必要である。わが国は世界中を見渡しても平均寿命が高い水準にあり,今後,より高齢な患者に対するTAVIが広がっていくと考えられる。本稿では,高齢者の適応についてこれまでに明らかになっていること,また今後の展望について詳述する。
著者
山口 洋一朗 帖佐 悦男
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.432-433, 2019-04-19

主に手や指の刺傷などから発生する化膿性屈筋腱腱鞘炎でみられる診察所見であり、処置が遅れると屈筋腱壊死をきたすため、身体所見を知っておくことが重要である。なお、筆者らが渉猟しえた範囲ではKanavel四徴に該当する表現で記載してある英語文献は認められず、Kanavel signやKanavel'ssignsといった表現のみであったため、Kanavel四徴はわが国独自の表現である可能性が高いと思われた。なお、『整形外科学用語集第8版』では「Kanavel徴候(Kanavel sign)」と記載されている。
著者
津野田 雅敏
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.292-293, 2017-03-26

1.大動脈瘤の多くは無症状だが,大きくなると胸背部痛や腹痛などの症状が出現して最終的には破裂する。破裂リスクの予測因子として最も重要なのは瘤径(最大短径)であり,腹部大動脈で5.5cm以上,上行大動脈で6cm以上,下行大動脈で7cm以上になると破裂の危険性が高くなる2.症状が出現した段階では,すでに破裂の危険性が高まっている状態であり切迫破裂が疑われる。切迫破裂のCTサインとしてはhyperattenuatingcrescentsignなどが有名だが短期的な陽性適中率は必ずしも高くはなく,症状や瘤径,経時的な変化などを併せて診断することが重要である3.大動脈瘤破裂には一般的なfrankruptureと,慢性的な経過を示すことの多いcontainedruptureがある。典型的なfrankruptureではCT診断に迷うことは少ないが,特殊な破裂様式の場合には注意が必要である。慢性的な経過を示すcontainedruptureのCTサインとしてはdrapedaortasignがある
著者
和泉 徹 小幡 裕明 阿部 暁
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.552-557, 2020-06-09

フレイルを伴う傘寿者(80歳以上の超高齢者)のための心不全リハビリの適応・実際・成果・意義について概説する。独歩リハビリは,地域包括ケア社会における心不全傘寿者の地域連携を図る有力な方策である。
著者
大木 弘治 内田 宗志
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.532-535, 2019-05-19

はじめに大腿骨寛骨臼インピンジメント(femoroacetabular impingement;FAI)は, 2003年にGanzらによって新たに提唱された概念であり,大腿骨や寛骨臼の形態 異常により,インピンジ(衝突)することで股関節痛が誘発され,さらには股関節 可動域制限を生じる。股関節唇損傷や変形性股関節症の一因として,広く認識さ れるようになった。 FAIは形態により,①大腿骨頚部の骨性隆起によるcam type,②寛骨臼縁の過被 覆によるpincer type,③その両者が併存するmixed typeの3タイプに分類される。 最初の治療は,投薬,リハビリテーションなどの保存療法が中心であるが,そ れでも改善しない場合,あるいはエリートスポーツ選手などでは手術療法が選択 肢の1つとなる。手術は,寛骨臼と大腿骨の膨隆部分を切除してインピンジメント を解消し,またインピンジメントにより損傷した関節唇を修復もしくは再建する が,最近ではより低侵襲な治療として,股関節鏡視下での手術が広く行われるよ うになった。 本稿では,筆者らがFAIの手術において行っているコツについて述べる。
著者
下平 浩揮 内田 宗志
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.36-51, 2018-04-01

<画像診療のポイント>●寛骨臼形成不全は外方の被覆だけではなく、前方の被覆ならびに股関節の不安定性の評価も必要である。●大腿骨寛骨臼インピンジメントの画像評価は、正面、軸位に加えてDunn viewでも行う。●関節軟骨の評価には、MRIにおける脂肪抑制プロトン密度強調像、T2マッピングを用いる。●大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折のMRI骨頭内線状低信号は、関節面に対して平行であり、大腿骨頭壊死症は凸である。●Os acetabuliを認める場合、寛骨臼ならびに大腿骨頭から頸部にかけての骨形態の評価も必要である。●恥骨結合炎は、MRIにおける軟骨下板の前後方向における骨髄浮腫が特徴的な所見である。
著者
久保田 潤
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.112-120, 2019-01-26

画像診断には解剖の理解が重要である。解剖の勉強には通常テキストやイラストなどの平面の情報が使われているが、立体的な理解はしばしば難しい。筆者はRoux-en-Y再建術とPetersenヘルニアを立体的に理解するための模型を製作し、小腸動脈同士の位置関係によりPetersenヘルニアをCTで診断する方法を考案した。模型作りは解剖の空間的な理解を助けるうえに、それを画像診断に応用するためのアイデアの創出に役立つ。
著者
伊原 研一郎 岡田 宗正 松永 尚文
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.294-295, 2017-03-26

1.いずれも単純CTで大動脈壁内が三日月状の高吸収域として認められるサイン2.high–attenuatingcrescentsignは腹部大動脈瘤の切迫破裂を示唆し,high–attenuatingcrescentsignは急性期の偽腔閉塞型大動脈解離を示唆するサイン3.画像所見では,石灰化した内膜が内方へ偏位している場合,大動脈解離と診断でき,hyperdensecrescentsignは,偽腔が頭尾方向に連続して認められるため,両者の鑑別は可能となりうる
著者
康 東天
出版者
メジカルビュー社
巻号頁・発行日
pp.745-750, 2019-08-09

<Point>1 大規模医療情報データベースは医学研究、保健行政において重要性が増している。2 臨床検査項目は試薬によって検査値が大きく変わりうるため、統一的なデータ格納が非常に困難である。3 わが国における標準臨床検査項目コードは現在JLAC10であり、データベースに最適化されたJLAC11への変換が最終段階にある。