著者
内田 麻子 大原 和幸 長阪 玲子 潮 秀樹
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.184-188, 2007-06-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
17

糠漬けは,野菜を米糠に漬けた日本の伝統的な漬物である。米糠油中の最も代表的な生理活性物質であるγ-オリザノールは,フェルラ酸がトリテルペンアルコールや植物性ステロールとエステル結合した化合物の混合物である。γ-オリザノールは血中コレステロールの低下などの生理活性作用を示すことが報告されている。HPLCを用いて,生大根と6種の市販糠漬け大根中のγ-オリザノールを測定した。実際に生大根を米糠に漬け,糠漬け大根中のγ-オリザノール量の変化を,水分含量および塩分濃度とともに測定した。紫外蛍光顕微鏡を用いて,糠漬け大根中のγ-オリザノールを観察した。これらの結果から,糠漬け工程中にγ-オリザノールが糠漬け大根へ蓄積されることが明らかになった。糠漬け大根に蓄積されるγ-オリザノール量は,生理活性作用を有する濃度と比較すると少量であったが,長期間に渡って糠漬け大根を摂取するならば,γ-オリザノールが有する種々の生理活性作用を期待できる可能性が示唆された。