著者
冨井 直弥
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.L1, pp.3-8, 2023 (Released:2023-03-01)
参考文献数
1

JAXAは衛星SARによるインフラ変位監視技術の開発を実施してきた.用いている衛星は「だいち2号(ALOS-2)」である.Lバンド合成開口レーダを搭載しているため,高分解能モードがあり,空間分解能3m,観測幅50kmである.Xバンドに比較して波長が長く,雲・雨・葉の透過度が高い.計測原理は,衛星-地表面の距離変化を2回以上の観測の位相差から相対変位を求める.例えば河川堤防の定期点検は,現在目視にて実施しているが,JAXAは点検前に衛星による一次スクリーニング結果を反映し,変位検出箇所を重点的に目視点検する方法を提案した.また,衛星データを使ってインフラの変位を自動解析できるツールを開発.航空レーザ測量や水準測量と比較して,SAR解析は現地作業・機材準備の必要もない.計測範囲も50km四方まで可能.計測精度はmmオーダである.
著者
夏秋 嶺 穴原 琢摩 琴浦 毅 岩塚 雄大 冨井 直弥 片山 裕之 西畑 剛
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_748-I_753, 2016 (Released:2016-08-30)
参考文献数
3
被引用文献数
1

衛星搭載型合成開口レーダー(SAR)は,天候に左右されずに数十キロ四方の広範囲に位置する観測対象を一度に観測できる強みを持つ.SAR 画像の干渉解析は,二回の観測の間に生じた地盤高の変動を数センチ単位で計測できる性能を持ち,これまで地殻変動や被災域の検知を目的として研究されてきた.著者らは,陸域観測技術衛星「だいち2号」(ALOS-2)を利用し,SAR干渉解析による災害時の港湾の被害状況を迅速に把握するべく研究を進めている.本稿では,港湾施設を模した消波ブロック列を用い,干渉解析の適用可能性を検討し,標準偏差で約2 cmの精度を得たほか,平成26年台風第11号により被災した兵庫県神戸市の長田港および須磨港の防波堤の被災領域の検出を試みた結果についても報告する.
著者
中尾 正博 佐藤 哲夫 冨井 直弥 高山 慎一郎 堀内 貴史 朴澤 佐智子 鈴木 智美 小川 恵美子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SAT, 衛星通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.427, pp.49-53, 2010-02-19

超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS: Wideband InterNetworking engineering test and Demonstration Satellite)は,Ka帯のMBAやMPAによる高い送信・受信能力を持ち,小型の地球局で広帯域通信が可能であり,遅延時間が少ないという特徴を持つ衛星である.「きずな」は2008年2月23日に打上げられ,軌道上での初期機能確認試験を行った後,様々な実験を実施してきた.本稿では,宇宙航空研究開発機構(JAXA: Japan Aerospace Exploration Agency)が実施した基本実験結果の概略について紹介する.