著者
冨永 邦彦 若狭 治毅
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.867-870, 1994-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
3

リンパ節はその目的に合致した高度な組織構造を持ち,濾過装置として,抗体産生臓器として生体防御に重要である.リンパ節は皮質と髄質に大別され,皮質にはBリンパ球の集簇するリンパ濾胞が存在する.リンパ液は被膜直下の辺縁洞と呼ばれるリンパ洞に注ぎ,中間洞・髄洞へと流れる間に大食細胞による濾過をうける.血管系の特徴として濾胞周囲に毛細血管後細静脈がありTリンパ球の流入口とされる.濾胞の支持細胞として濾胞樹状細胞が,傍皮質には抗原提示細胞として合指状細網細胞が存在する.
著者
輿石 直樹 井出澤 剛直 井上 亜矢子 熊田 哲 柴 修吾 渡邊 美穂 瀧川 拓人 岡崎 護 木嶋 泰興 冨永 邦彦
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.45-50, 2004-01-01
参考文献数
12
被引用文献数
17

症例は77歳の男性.体重減少を主訴に入院となった.精査にて,Vater乳頭部の未分化型腺癌との診断になり,膵頭十二指腸切除術を施行した.腫瘍は露出腫瘤型で,深達度はOddi筋までであった.主座は小型腫瘍細胞がシート状に増殖し,粘膜側に腺癌構造伴っており,免疫組織学的検索においてNSEとchromogranin Aは陽性で,desminとS-100蛋白は陰性で,腺内分泌細胞癌と診断した.腺内分泌細胞癌は腺癌から分化を伴ったものとされており,その悪性度は高く,比較的小さな病変で診断・治療されても,予後不良とされている.本症例も術後14か月で多発性肝転移のため死亡した.十二指腸乳頭部原発の腺内分泌細胞癌の本邦での報告は自験例を含め14例とまれである.本邦報告例とともに文献的考察を加え報告する.