著者
三家本祥平 井手 綾香 出口 幸子
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.45(2006-MUS-065), pp.19-24, 2006-05-13

本研究では、日本ポピュラー音楽の3名の作曲家の楽曲を対象として、楽譜データベースを作成し、それを用いてリズムと旋律を分析した。リズムについては、作曲家ごとに1小節単位で音価の列を抽出して上位パターンを比較分析した所、作曲家による違いがあることが分かった。旋律については、作曲家ごとにn音旋律(音高の列、n=3~7)を抽出して上位パターンを比較分析した所、短い旋律(n=3)には共通パターンが多いことが示された。さらに、音階上における音の分布と遷移に偏りがあることが示された。一方、サビの最初の音高が高いとは言えないことを確認した。
著者
出口 幸子 白井 克彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.642-649, 2001-03-15
被引用文献数
4 4

筆者らは箏曲の楽譜データベースを実現するために,箏曲の旋律分析を行っており,その基礎として必要な音律と音階を規定することができたので報告する.箏曲の音律と音階を規定する文書は存在しないが,中国雅楽,中国俗楽,日本雅楽を経て箏曲に至っている.本研究では,箏曲譜から作成した楽譜情報ファイルの分析から箏曲の音律と音階を規定できることを示し,かつ中国雅楽の理論を適用できることを示した.本研究の目的は情報処理における対象領域の構造の規定であるので,明確に定義されている中国雅楽の理論を用いて検討した.音律については,楽譜情報から連続する2音の音程を抽出し,半音と全音が出現する音高が限定していることから,半音が生じる2音間の音程を $x$,生じない音程を $y$,および全音の音程を $xy$ として1オクターブ中の各音間の音程を決定した.これより,1オクターブ中の12音の具体的な周波数比を求めた.また,このように規定した音律が,中国雅楽の音律である十二律の理論に適合することを確認した.音階については,中国雅楽の音階である七音音階,および十二律と七音音階を対応付ける均の概念を用いて,箏曲の音階と均を理論的に定義した.一方,楽譜情報ファイルを調弦の変化する点で分割し,各音高の出現頻度より,均の存在を確認して,調弦と均との対応を考察し,また,七音音階であることを確認した.This paper describes a study on the temperament and the scale of koto music,toward a research of melody analysis and score database.The temperament and the scale of koto music are not described on any document,while they are based on Japanese court music,Chinese traditional music and Chinese court music.This paper shows that they can be defined by analyzing score data files to satisfy the theory of Chinese court music.We extract intervals between two notes sequentially from score data files,and show that semitones and whole tones are used limitedly.We define semitone as ``$x$'',define the interval not used for semitone as ``$y$'',and define whole tone as ``$xy$''.Therefore the intervals between twelve tones in one octave are defined.We also calculate the frequency ratios of tones.Next, the temperament of koto music is certified by the theory of Chinese 12-tone temperament.The scale of koto music is defined by the theory of Chinese 7-tone scale,and the dependency of scale on temperament is also determined.We extract notes from score data files, and verify the scale and the dependency of scale on temperament.
著者
出口 幸子 白井 克彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.642-649, 2001-03-15

筆者らは箏曲の楽譜データベースを実現するために,箏曲の旋律分析を行っており,その基礎として必要な音律と音階を規定することができたので報告する.箏曲の音律と音階を規定する文書は存在しないが,中国雅楽,中国俗楽,日本雅楽を経て箏曲に至っている.本研究では,箏曲譜から作成した楽譜情報ファイルの分析から箏曲の音律と音階を規定できることを示し,かつ中国雅楽の理論を適用できることを示した.本研究の目的は情報処理における対象領域の構造の規定であるので,明確に定義されている中国雅楽の理論を用いて検討した.音律については,楽譜情報から連続する2音の音程を抽出し,半音と全音が出現する音高が限定していることから,半音が生じる2音間の音程を $x$,生じない音程を $y$,および全音の音程を $xy$ として1オクターブ中の各音間の音程を決定した.これより,1オクターブ中の12音の具体的な周波数比を求めた.また,このように規定した音律が,中国雅楽の音律である十二律の理論に適合することを確認した.音階については,中国雅楽の音階である七音音階,および十二律と七音音階を対応付ける均の概念を用いて,箏曲の音階と均を理論的に定義した.一方,楽譜情報ファイルを調弦の変化する点で分割し,各音高の出現頻度より,均の存在を確認して,調弦と均との対応を考察し,また,七音音階であることを確認した.
著者
出口 幸子 白井 克彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.153-160, 2003 (Released:2003-04-08)
参考文献数
16

This paper describes the knowledge representation of the melody and rhythm in koto songs based on the structure of the domain: the scale, melisma (the melody in a syllable), and bar. We have encoded koto scores and extracted 2,3,4-note melodic patterns sequentially from the voice part of koto scores. The 2,3,4-note patterns used in the melisma are limited and the percentages of top patterns are high. The 3,4-note melodic patterns are examined at each scale degree. These patterns are more restricted than the patterns that are possible under the constraint of the scale. These typical patterns on the scale represent the knowledge of koto players. We have analyzed rhythms in two different ways. We have extracted rhythms depending on each melodic pattern, while we have extracted rhythms depending on each bar. The former are complicated and the latter are typical. This result indicates that koto players recognize melodic patterns and rhythmic patterns independently. Our analyses show the melodic patterns and rhythmic patterns that are acquired by koto players. These patterns will be applied to the description of variations of the melisma to build a score database. These patterns will also be applied to a composition and education. The melodic patterns can be extracted from other genres of Japanese traditional music, foreign old folk songs or chants by using this method.
著者
出口 幸子
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2003-07

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1816号 ; 学位の種類:博士(情報科学) ; 授与年月日:2003/7/17 ; 早大学位記番号:新3629