著者
初坂 奈津子 宮下 久範 久保 江理 喜多村 紘子 大久保 利晃 佐々木 洋
出版者
日本白内障学会
雑誌
日本白内障学会誌 (ISSN:09154302)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.49-51, 2020 (Released:2020-07-08)
参考文献数
5

当教室では東京電力福島第一原子力発電所の緊急作業従事者約2万人に対する白内障調査を行っている. 昨年度より開始した全国調査では, まず対象者を被ばく線量20mSv以上となる3,673名とし, 2018年4月~2020年3月までに479名の検診が終了した. 現在までの結果は, 微小混濁であるvacuoles が比較的多くの対象者に認められている. 今後, この微小混濁が放射線白内障の一つである後囊下白内障に進行するかについては, 引き続き長期的な調査の継続が必要である.
著者
林田 敏幸 佐々木 洋 浜田 信行 立崎 英夫 初坂 奈津子 赤羽 恵一 横山 須美
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.88-99, 2017 (Released:2017-07-29)
参考文献数
54
被引用文献数
5

In March 2011, the accident occurred at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant of Tokyo Electric Power Company. During recovery from critical situations, the radiation dose for some emergency workers exceeded the effective dose limit recommended for an emergency situation. A month after the accident, the International Commission on Radiological Protection issued a statement on tissue reactions recommending significant reduction of the equivalent dose limit to the lens of the eye. Many radiation workers will need to be involved in treatment of water contaminated with radionuclides, fuel debris retrieval, and decommissioning of reactors for a long period of time. Thus, the optimized radiation control in the fields, exposure reduction, prevention of tissue reactions, and reduction of stochastic risks for workers becomes necessary. This paper discusses issues in relation to radiation protection of the ocular lens in such recovery workers, from the viewpoint of radiation exposure of workers, its management, manifestations and mechanisms of the lens effects.
著者
初坂 奈津子
出版者
日本白内障学会
雑誌
日本白内障学会誌 (ISSN:09154302)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.40-44, 2017 (Released:2017-07-03)
参考文献数
15
被引用文献数
1
著者
武田 峻 山本 直樹 長井 紀章 出口 粧央里 平松 範子 初坂 奈津子 永田 万由美 松島 博之 久保 江理 佐々木 洋
出版者
日本白内障学会
雑誌
日本白内障学会誌 (ISSN:09154302)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.76-82, 2022 (Released:2022-07-19)
参考文献数
32

核白内障(nuclear cataract: NUC)の発症要因として,高温環境による影響が報告されている.今回,体温に着目し,水晶体再建術施行例を対象とし,体温とヒト水晶体上皮細胞(human lens epithelial cells: HLECs)中ミトコンドリア活性およびATP含量の関係,体温とNUC発症リスクの関連について検討した.NUC患者では体温36.5℃以下患者(L群)に比べ36.5℃超過の患者(H群)でHLECs中のミトコンドリアゲノムチトクロムcオキシダーゼmRNA発現量は増加傾向を示した.また,H群におけるATP量はNUC患者が透明水晶体患者に比較し高く,NUC患者ではL群より有意に高値を示した.一方,ロジスティック回帰分析によるL群に対するH群のNUC発症リスクのオッズ比は1.131(95% 信頼区間: 0.583-2.193)であり,有意な関連性は認められなかった.