著者
室生団体研究グループ 八尾 昭 茅原 芳正 別所 孝範 鎌田 浩毅 山本 俊哉 渕上 芳孝 石井 久夫 森山 義博 西尾 明保 寺戸 真 八尾 昭
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.97-108, 2008
参考文献数
52
被引用文献数
2

中新世の室生火砕流堆積物は近畿地方,紀伊半島中央部に分布し,その面積は1.9×10^2km^2に達する.室生火砕流堆積物は基底相と主部相に区分できる.基底相は層厚50m未満で異質岩片を含む溶結した火砕流堆積物と火山豆石を含む降下火山灰,火砕サージ堆積物で構成される.主部相はさらに下部にはさまれる層厚30m未満の斜方輝石を含むデイサイト質火山礫凝灰岩と上部の層厚400mを超える膨大な黒雲母流紋岩質火山礫凝灰岩に分けられる.主部相の基質はほとんどが溶結した結晶凝灰岩である.基底相には中礫大未満のチャート,砂岩,頁岩などの岩片が含まれており,室生火砕流堆積物を供給した地域の基盤岩を構成していた.室生火砕流堆積物は以前から中期中新世の熊野・大峯酸性岩類など大規模な珪長質火成岩が分布する南方から供給されたと推定されていた.異質岩片のチャートにペルム紀〜ジュラ紀の放散虫化石が含まれ,その給源火山の一部は秩父帯にあった可能性がある.秩父帯では半円形の断裂に沿って火砕岩岩脈群が貫入する大台コールドロンが存在しており,膨大な火砕流を噴出したことが推定される.