- 著者
-
前田 一男
- 出版者
- 立教大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1997
本研究の目的は、主に2つあった。第1は、新たに発掘された森戸辰男(1888年〜1984年)関係の諸史料を整理分類し、データベース化したうえで文書目録を作成・公刊することである。このことによって、膨大な森戸関係の文書整理は、ひとつの段階を終えることになるだろう。第2は、それらの諸資料を活用して、特に中央教育審議会において4期連続で会長の職にあった時期(1963年6月〜1971年7月)を中心に、高度経済成長期における教育政策分析の基礎研究を行うことにある。政府・財界と教育運動との対立といった単純な図式を越えた基礎研究の必要性が求められている。このような研究目的に即して、3年間の研究実績は、以下の2つの点に認められる。第1に、森戸関係資料の段ボール箱98箱の分類整理作業が精力的に進められた。文書の整理作業は、有効な分類項目が検討されながら進められた。分類整理の段階は、史料の多寡(量)によってまとまりをつけている段階で、それらをさらに質的な観点から分類していくことを課題とした。とくに◇日本学術会議・教育美術振興会、国立大学事務局長会議・教育刷新委員会・国際理解研究会・日本育英会・教育改革・教育(社会・一般)は、さらなる分類が必要であり、◇森戸メモ、◇森戸講演関係、◇森戸宛書簡、◇森戸原稿は、分類整理に工夫を要する項目である。第2は、現在までに分類整理を終えた資料の文書目録を作成することである。現段階で整理し分類しうる範囲での、森戸辰男関係資料目録の作成を行った。森戸の広範な活動が浮かび上がらせることができるよう、(1)戦前・戦中、(2)戦後I、(3)原稿・その他、(4)書簡、(5)中央教育審議会関係資料の観点から『森戸辰男文書の分類整理に基づく1960年代教育政策分析の基礎研究』として研究成果を刊行した。