著者
冨川 和哉 岩本 義博 大江 丙午 新井 英雄 山本 直史 前田 博史 高柴 正悟
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.193-202, 2012-03-28 (Released:2013-04-24)
参考文献数
19

歯周病に対する感受性が高い侵襲性歯周炎患者の治療においては,徹底した感染コントロールを行い,疾患活動性を抑制する事が要求される。近年,歯周病原細菌の感染量や歯周炎の活動性を評価するために,PCR 法を応用した細菌 DNA 検査や血清抗体価検査が活用されるようになってきた。今回報告するのは,好中球貪食能が低下傾向であった広汎型侵襲性歯周炎患者の症例である。患者は 25 歳の女性であり,歯周 基本治療,歯周組織再生療法を含む歯周外科治療,そして最終補綴治療を経て SPT に移行し,初診から 15 年間にわたって,臨床計測値の変化および歯周病原細菌に対する血清 IgG 抗体価の変動をモニタリングしている。これによって,SPT 期間中に歯周組織の破壊が進行した 26 の臨床所見と血清 IgG 抗体価の変動を捉えることができた。26 以外の歯周組織は SPT 期間を通して安定した状態を示していたが,血清 IgG 抗体価は 26 の組織破壊の進行と連動して高値を示した。本症例においては局所的な歯周炎の活動性が血清 IgG 抗体価検査によって評価できたと考える。日本歯周病学会会誌(日歯病誌)54(2):193-202, 2012
著者
山部 こころ 苔口 進 前田 博史
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.463-470, 2010-07-01 (Released:2011-09-07)
参考文献数
18

口腔内に生息するメタン生成古細菌 (Methanobrevibacter) が歯周病(歯槽膿漏)の病態に関与していることが示唆されるようになった.古細菌には,膜脂質や抗原分子において,真正細菌にはない特徴がある.これまで,歯周病の病態はグラム陰性桿菌を主体とした,いわゆる歯周病原細菌の感染とそれらに対する免疫応答から説明されていた.メタン生成古細菌の参戦によって,歯周病の病態がこれまでにはない側面から解明される可能性がでてきた.