著者
廣田 栄子 田中 美郷 前田 知佳子 芦野 聡子
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.287-295, 1988

普通小学校に在籍する高度感音性聴覚障害児91例を対象とした.そのうち13例は幼児期に3年以上手指法を用い聴覚と読話を併用していた (指文字6例, キュード・スピーチ7例) .幼児期より聴覚口話法を用いた78例の検査結果と比較した.被検児に対し読書力検査と失語症構文検査を行い言語力を評価し, 57S語音明瞭度検査と単語了解度検査を用いて語音聴取力を評価した.話声位検査, 100音節発語明瞭度検査, アクセント検査を用いて発声発語力を評価し, 発話の聴覚印象によって音声障害の重症度を評価した.その結果, 幼児期に用いた言語メディアによって学童期の言語力に差は認められなかった.一方, 手指法を併用した聴力75dB以上100dB未満の症例では, 音声の韻律的障害が著しく, 聴覚口話法を用いた症例と比べて発声発話力の低下を認め, 単音節語音の弁別力の低下を認めた.これらの症例に手指法を併用するときには, 聴覚活用と音声障害の改善について配慮が必要であると結論した.
著者
前田 知佳子 小寺 一興 長井 今日子 三浦 雅美 矢部 進
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.276-282, 1992
被引用文献数
1

CD (TY-89) の57語表と, 57Sテープについて, 校正用純音と検査語音との関係を求めた。 検査語音のVUメータ相当レベルは, 校正用純音に対して, TY-89では10.2dB小さく, 57Sテープでは2.1dB大きかった。 検査語音のVUメータ相当レベルに比べたTY-89の語音の最大振幅は13.1dB高く, 57Sテープでは5.0dB高かった。<br>ついで, 正常者8例の雑音下の明瞭度をTY-89と57Sテープで, SN比を一致させて検討した。 全体明瞭度および無声子音, 有声子音, 半母音の明瞭度は, TY-89の結果は57Sテープより良好な傾向があった。 鼻音については, TY-89の結果は57Sテープより悪い傾向があった。<br>CD (TY-89) の57語表を雑音下の明瞭度検査に用いる際には, 本研究結果を考慮すべきである。