著者
西口 正之 井上 晃 前田 祐児 松本 淳 田中 直也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.98, no.424, pp.27-34, 1998-11-20
被引用文献数
5

本稿では、MPEG-4標準化に提案中の低ビットレート音声符号化方式Harmonic Vector eXcitation Coding(HVXC)について、その構成を説明する。HVXCは2.0kbpsおよび4.0kbpsの固定ビットレートモードと、2.0kbps以下の可変ビットレートモードを有している。符号化アルゴリズムとして、有声音部分においてはLPC残差のハーモニックコーディングを、無声音部分においてはCELP方式を用いることで低ビットレートでも良好な音声品質を得ている。主な特徴として、4.0kbpsのビットストリームのサブセットを用いて2.0kbpsで復号するビットレートスケラビリティー機能、音韻やピッチを変えずに再生スピードをコントロールする機能などがある。98年8月のMPEGの公式主観評価試験の結果、2.0kbps HVXCの音質は4.8kbpsのFS1016 CELPの音質よりも優れていることが確認された。HVXC音声符号化方式は1998年10月にMPEG-4 Final Draft International Standard(FDIS)に選定された。