著者
前谷 勇太 上利 大 野村 栄一 植田 光晴 安東 由喜雄 山脇 健盛
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.430-434, 2016 (Released:2016-06-22)
参考文献数
23
被引用文献数
5 7

症例は76歳女性.58歳で硝子体混濁,68歳で歩行障害と四肢の異常感覚が出現し,遺伝子検査で異型トランスサイレチンVal30Metホモ接合体を認め,家族性アミロイドポリニューロパチーと診断された.両親が血族婚で,叔母が類症疑い.歩行障害が徐々に増悪.76歳時に入院.小脳萎縮の進行と左右対称性のヘモジデリン沈着を認めた.脳アミロイドアンギオパチーで見られる限局型脳表ヘモジデリン沈着症(superficial siderosis; SS)とは分布が異なることから,古典型SSの合併と診断した.Val30Metホモ接合体患者では中枢神経症状を伴うことがあり,その原因として古典型SSの可能性が考えられた.