著者
井上 なつみ 山宮 麻里 田崎 優子 石川 さやか 篠崎 絵里 上野 和之 横山 忠史 前田 文恵 千田 裕美 井上 巳香 清水 正樹 前馬 秀昭 酒詰 忍 太田 和秀
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.137-140, 2014 (Released:2015-05-11)
参考文献数
10

シクロスポリンA(Cyclosporine A; CyA)の内服法の変更を徹底することで寛解維持が可能となったネフローゼ症候群(巣状糸球体硬化症)の症例を経験した。症例は12歳女児,7 歳時にネフローゼ症候群を発症し,他院でプレドニゾロン,CyA にて治療されていたが,再発を繰り返し完全寛解に至らず当院へ紹介された。CyA は,前医でも血中濃度を定期的に測定され,7.7 mg/kg 分2 でC0 70 ng/mℓ,C2 500 ng/mℓ程度であったが血中濃度は安定せず,上昇しにくいとのことであった。当院紹介後,前医での内服方法が食後投与で,食事時間や内服時間も不定であったことが判明した。そこで,当院では規則正しく食事をし,さらに食前30 分前(空腹時)の内服を徹底するよう指導した。その結果,5.5 mg/kg 分2 でC0 60~100 ng/mℓ,C2 600~1000 ng/mℓと血中濃度が上昇しCyA の投与量も減量できた。さらに,安定した血中濃度が得られ寛解を維持することも可能となった。CyA を投与する際には,定期的な血中濃度測定だけでなく,内服状況の確認とその指導が非常に大切だと思われた。