- 著者
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冨士田 裕子
加川 敬祐
東 隆行
- 出版者
- 一般社団法人 日本生態学会
- 雑誌
- 保全生態学研究 (ISSN:13424327)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, no.1, pp.77-92, 2016 (Released:2016-10-03)
- 参考文献数
- 38
要旨
環境省により準絶滅危惧(NT)に指定されているチョウジソウの保全のために、日本におけるチョウジソウの産地記録を標本調査と文献調査等によって整理し、現地調査を行い、現存個体群についてはシュート数と生育環境の調査を行った。チョウジソウは北海道から宮崎県に至る38都道府県の180産地で記録があり、そのうち61産地での生育が確認されたが、7都府県で絶滅、7府県で現状不明で生育が確認できなかった。残存生育地は、各県で1?数か所であることが多く、広い分布域をもちながら、産地は散在し不連続であった。生育が確認された立地は、林床、湖岸林縁、湖岸草地、草原と多様であった。多くの場所が湖岸や河川敷、谷斜面脚部など、元々氾濫や水位変動の影響を受ける場所であった。これらの立地のうち、現在は堤内地となっている場所では、攪乱が起こりにくいと考えられた。