著者
吉野 由美子 加藤 俊和 原田 敦史
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.5, 2011

東日本大震災が起こり、その規模の大きさに呆然としていた時に、ある会員の方から「協会としても何か支援活動をしないのですか」「何か役に立てませんか」と言う問い合わせをいただいたが、会員400人の協会で、財政的にも行き詰まり状態である中「何ができるのか」と考えあぐねていた時に、日盲委を中心として「対策本部」を作るので視覚リハ協会も視覚障害の専門家集団として協力して欲しいと言う申し出を受けた。<BR> この動きの中心となった加藤さんは、阪神淡路大震災の時に、被災した視覚障害者の支援にあたった経験があり、その経験から、「連携の大切さ」と「初期戦略として何をなすべきか」の見極めができているのだと言うことを知った。また、阪神淡路大震災の体験などの重要な先人の知恵が、私たち専門家に共有の財産となっていないことも分かってきた。<BR> 本シンポジュームでは、東日本大震災で被災した視覚障害者に対する支援の初期戦略と今後の見通しについてを対策本部の指揮を取っている加藤さんから伺い、また現地で実際に被災した視覚障害当事者の方に会って、その現状をつぶさに見ている原田さんからその状況を伺い、視覚障害リハビリテーションの専門家として、次にこのような災害が起こったとき「何をなすべきか」「どのような備えをしておくべきか」の知識を共有する事を第一の目的としている。<BR> また、大震災からの復興過程の中で必要とされる長期的な支援についても問題を提起することができればと考えている。