著者
松尾 葦江 石川 透 小林 健二 伊海 孝充 小助川 元太 岩城 賢太郎 坂井 孝一 高橋 典幸 吉田 永弘 原田 敦史 辻本 恭子 平藤 幸 伊藤 慎吾 山本 岳史 秋田 陽哉 SELINGER Vyjayanthi
出版者
國學院大學
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

非公開のものも含め軍記物語関連の史料・伝本・絵画資料などの調査を、4年間に36回行った。これまで個別に調査されていた資料相互の比較対照によって判明したことも多い。それらの成果は公開研究会・シンポジウム・講演会での議論を加えて、HPや冊子体の報告書などで発信してきた。また情報量の多いテキストである源平盛衰記の内容を、把握しやすい年表の形式に再編成し、平成26年度中に公刊する予定で作業を進めている。
著者
吉野 由美子 加藤 俊和 原田 敦史
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.5, 2011

東日本大震災が起こり、その規模の大きさに呆然としていた時に、ある会員の方から「協会としても何か支援活動をしないのですか」「何か役に立てませんか」と言う問い合わせをいただいたが、会員400人の協会で、財政的にも行き詰まり状態である中「何ができるのか」と考えあぐねていた時に、日盲委を中心として「対策本部」を作るので視覚リハ協会も視覚障害の専門家集団として協力して欲しいと言う申し出を受けた。<BR> この動きの中心となった加藤さんは、阪神淡路大震災の時に、被災した視覚障害者の支援にあたった経験があり、その経験から、「連携の大切さ」と「初期戦略として何をなすべきか」の見極めができているのだと言うことを知った。また、阪神淡路大震災の体験などの重要な先人の知恵が、私たち専門家に共有の財産となっていないことも分かってきた。<BR> 本シンポジュームでは、東日本大震災で被災した視覚障害者に対する支援の初期戦略と今後の見通しについてを対策本部の指揮を取っている加藤さんから伺い、また現地で実際に被災した視覚障害当事者の方に会って、その現状をつぶさに見ている原田さんからその状況を伺い、視覚障害リハビリテーションの専門家として、次にこのような災害が起こったとき「何をなすべきか」「どのような備えをしておくべきか」の知識を共有する事を第一の目的としている。<BR> また、大震災からの復興過程の中で必要とされる長期的な支援についても問題を提起することができればと考えている。
著者
原田 敦史 内田 まり子
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.86, 2012

<B>【はじめに】</B><BR> 日本盲人委員会が立ち上げた東日本大震災視覚障害者対策本部の現地の支援員として、1年間活動をしてきた。災害規模が大きくその支援は困難を極め、中でも支援を行うための準備は急を要したが、残念ながらすぐに活用できるものは多くはなかった。我々は第一次から第三次の支援に際して、当てのないまま支援物資の準備と資料の作成を行った。今回の報告では、災害時にはどんな物資が必要で、どのような情報があったのか、それを活用するためにどんなマニュアルを作成したのか、今後も活用できる部分を中心に紹介する。<BR><B>【現地の支援活動】</B><BR> 対策本部では、岩手県と宮城県の避難所を中心に約750か所を訪問し視覚障害者を探して支援を実施した。また安否の確認ができなかった方、支援の要望があった方の自宅を訪問し支援を実施した。その数は300件近くとなった。<BR> これら支援の交通手段は車で、その際には支援グッズを積んで回った。<BR><B>【準備をしたもの】</B><BR>○物資について<BR> 最初はラジオや、携帯の充電器、白杖、音声時計、乾電池を準備した。その後は支援団体から届いた物資を加えながら増やしていった。<BR>○情報について<BR> スーパー開店状況等の食料事情や医療機関の情報は多くの被災者が必要とした。また視覚障害者支援団体や業者より様々な支援策が実施されていた。それらをまとめて一つの情報にして資料を作成した。これには随時新しいものを加えていった。<BR>○マニュアル・個別表について<BR> 第一次の避難所中心の訪問から第三次の個人宅中心の訪問まで、マニュアルは三回とも更新した。また対応したことが分かりやすいように個別対応表も作成し、これも更新をしていった。その場でメモを取らなくてはいけないことは何か、今後必要になってくる情報はなにか模索しながら資料を更新していった。<BR><B>【まとめ】</B><BR> 阪神大震災でも視覚障害者支援は実施されたが、役に立った物資等については、報告内に少しはでてくるものの、細かい資料等は残っておらず、一から資料作成をした状態であった。また何を聞くべきか、何を残すべきか、どんな支援物資を届けるべきか、常に考えているものの、答えが出ないものでもあった。ただし、被災地支援に関わったものとして、一つのまとめを残す必要があるかと考え、また、実際の支援にも役に立った部分もあるので、今後の支援準備の参考になればと思う。
著者
畑野 容子 中口 潤一 原田 敦史 内田 まり子
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.42, 2010

【はじめに】 2009年度から日本盲導犬協会 島根あさひ訓練センター(以下、当協会)では、中四国地方在住の視覚障がい者を対象に1週間の入所生活訓練を行う「視覚障がい短期リハビリテーション」(以下、短期リハ)を開始した。事業を利用したAさんの支援を香川県視覚障害者福祉センター(以下、福祉センター)と連携して行い、生活に変化をもたらすこととなった。その経過を報告する。【ケース】ケース:Aさん、右)0 左)光覚、30代女性、未婚、6人家族、自宅は中山間地域。生活状況:中学から盲学校に入学し、保健理療科へ進学したが免許取得はならず就職できなかった。卒後、現在に至るまで外出の機会は少なく、昼夜逆転の生活となり、一日の大半は自宅で録音図書を聞いて過ごしていた。障害基礎年金受給中。家計に余裕はない。【経過】・数年前に家族の意向で免許取得に向け福祉センターの在宅訓練を受けたが、モチベーションが保てず中断となった。・昨秋、福祉センターの訓練士が短期リハを勧めたことで参加。その後は、生活改善の意欲が高まり、更生施設への入所希望が聞かれるようになった。・当協会と福祉センターが自宅を訪問し、家族を含め希望・目標を確認。現在は福祉センターで歩行・点字の通所訓練を行い、秋には施設見学に行く調整を行っている。【考察】 Aさんの訓練を行ったことで10年間の引きこもり生活の要因が浮かび上がってきた。第1に地域的な要因である。10年前は福祉センターの在宅訓練はなかった。盲学校卒業後、近隣に相談できる場所がなく、適切な支援が受けられるような環境になかった。このためAさんの積極性が徐々に低下したと推測できる。第2に、Aさんの障害年金が家計の一部を補っているという要因である。就職して家計を助けたいという気持ちはあるが、自宅を出ることで家族に負担がかかると心配する面もあり、なかなか具体的な動きを取らなかった。第3に家族関係の要因である。Aさんの自立を応援する意思を示してきたが、経済的なことを懸念しているためか、現実的な話になるとあまり積極的ではない印象を受ける。現在はAさんの歩行・点字技術の向上とモチベーションの維持を目的に相談支援専門員にも経過を報告し、連携して継続的な支援を行っている。居住地域・生活状況によって本人の意向を汲み取るような適切なサービスが受けられない視覚障がい者の存在を改めて感じたケースとなった。