著者
伊豆 裕一 佐藤 浩一郎 加藤 健郎 松岡 由幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

プロダクトデザインにおいて,スケッチには,新たなデザイン解の導出を促す効果のあることが多く指摘されている.しかしながら,従来の研究では,それらの効果に対する透視図法や展開技法などのスケッチスキルの影響については明らかにされていない.筆者らは,プロダクトデザインにおけるスケッチスキルの効果の解明を目的に,スケッチ教育におけるスケッチスキルの習得度の差異を分析することで,各スケッチスキルの関係性を表すスケッチスキルの構造モデルを提示した.本稿では,本モデルを用いて,デザインにおいてイメージの創出を狙いとしたラフスケッチと,形状,構造,および仕様の導出を狙いとしたアイディアスケッチの両スケッチに影響するスケッチスキルを分析した.その結果,ラフスケッチにおいて形状の特徴表現,アイディアスケッチにおいて形状の正確・的確な表現に関わるスケッチスキルが,それぞれに強く影響することを明らかにした.<br>
著者
井関 大介 余部 昇太 山野 薫平 加藤 健郎 松岡 由幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第65回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.200-201, 2018 (Released:2018-06-21)

人工物の大規模・複雑化や,それを使用するユーザや環境の多様化にともない,人工物をデザインするために必要とされる要素は増加の一途を辿っている.それら大量のデザイン要素を用い,的確なデザイン解を得るためには,様々なデザイン環境下において適用可能な包括的視点を持ち,かつデザイン要素を適切に整理しながらデザイン展開を進めていく必要がある.それを実現するデザイン方法の1つとして,多空間デザインモデルに基づくMメソッドが提案されている.Mメソッドは,身近にある紙媒体を用い,手軽に行うことが可能なデザイン法である.一方,既存の発想法やデザイン法を,デジタル化する研究が多数行われている.発想・デザイン活動をコンピュータ上で行うことにより,紙媒体で扱うには困難なほどの大量のデザイン要素を,瞬時に整理し,的確なデザイン展開を進めていくことが可能になると考えられる.そこで本研究では,発想法やデザイン法を,コンピュータを用いてデジタル化した既報の研究論文を調査・分析することにより,Mメソッドに有効である機能を抽出し,それら機能を実装したコンピュータ上で動作するMメソッドシステムの開発を行うことを目的とする.
著者
伊豆 裕一 佐藤 浩一郎 加藤 健郎 氏家 良樹 松岡 由幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.4_61-4_70, 2012 (Released:2013-01-17)
参考文献数
14

デザイン発想におけるスケッチの活用には,多くの効果が確認されている.しかしながら,従来の研究では,それらの効果に対して,透視図法や陰影表現などのスケッチスキルがどのように影響するかは明らかにされていない.本稿では,プロダクトデザインにおけるデザイン発想に対するスケッチスキルの効果や役割の解明を目的に,スケッチスキルを構成する要因とその関係性を明確化した.具体的には,スケッチ教育におけるスケッチスキルの習得プロセスの観察を行い,同教育の受講生が描いたスケッチの評価を行った.その評価結果を,ISM,数量化III類,およびクラスター分析を用いて分析することで,スケッチスキルを構成する要因間の関係を明らかにし,スケッチスキルの構造モデルを提案した.これにより,スケッチスキルの合目的な活用・習得方法の解明が可能となり,スケッチスキルの効果や役割の明確化の一助とした.
著者
伊豆 裕一 加藤 健郎 佐藤 浩一郎 松岡 由幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.2_55-2_64, 2017-09-30 (Released:2017-12-22)
参考文献数
19

多くのデザイナーはデザイン案の発想にスケッチを活用する.一方,デザインの造形教育において,対象物を観察し表現するデッサンが重視される.両者の目的は異なるものの,透視図法や陰影法など,使用される表現スキルには共通点も見られる. 本研究は,デッサンとスケッチの描画スキルと描画過程を比較することにより,両者の関係について知見を得ることを目的とした.まず,10 名の対象者のデッサンとスケッチを描画スキルにより評価し分類した結果,対象者はデッサンスキル高,スケッチスキル高,およびその他の3つのグループに分けられた.つぎに,各グループのデッサンとスケッチの描画過程を分析し比較した結果,線や陰影と言った要素の描写時間や描画手順にグループによる違いが確認された.以上について分析した結果,デッサンとスケッチの描画には,表現スキルに加えて立体形状の認識方法の違いが影響することが示唆された.
著者
川西 翔樹 加藤 健郎 松岡 由幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.38-38, 2011

デザイン対象の機能は,デザイン対象とその周辺環境である場の関係に依存するといわれている.デザインという創造的行為における法則性の解明と,デザイン行為に関する知識の体系化を目指すデザイン科学を構築するためには,デザインにおける場について,デザイン場としての学術的な概念を確立する必要がある.場の概念は,デザインだけではなく様々な学術領域で用いられている.デザイン場構築の際に,これらの場の概念が参考になると考えられる.本研究では,デザイン場の構築を目指し,デザイン行為を包括的に論じることができる多空間デザインモデルを用いて,他の学問領域(物理学,生物学,ゲシュタルト心理学,社会心理学,生命関係学,組織論)における場の概念について,学問領域間の比較を行った.その結果,4つの場の類型を得た.