著者
福原 達郎 槙宏 太郎 柴崎 好伸 鐘ケ江 晴秀 平出 隆俊 加藤 博重
出版者
昭和大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1989

本年度は、本システムによる立体復構モデルを、実際の臨床における外科手術前の診断・術後の予測に応用した。まず、顎顔面部の左右非対称性がみられる患者において、三次元画像上におけるミラ-テクニックを用いた外科手術のシミュレ-ションをおこない、立体モデルとの比較をおこなった。その結果、三次元画像は、それまでのセファログラムの比べて、外科的な骨削除の部位や移動方向のおおよその推定は可能であるが、立体モデルと比べて、離断部位、削除量などが不正確であることが示された。また、本システムを用いた正確な部位の確認と削除量、移動量の検討により、顎関節部の形態、位置関係を前後的、上下的に容易に観察できるため、術後の骨片の動きなどを予測することが可能となった。モデルの作成に要した時間を以下に示す。1.CT撮影・外形線の抽出70(分)2.イメ-ジリ-ダ-による各断層像座標値の取り込み403.CAD内でのモデル構築204.CAMへの出力ならびに切削3005.積層時の外枠形態の出力(一体加工)406.積層・接着20したがって、本システムによる立体モデルは、外科矯正治療における診断・予測のうえで非常に有用であり、治療の支授システム、または、術者間のコミュニケ-ションツ-ルとしての大きな効果が期待されるものと考えられた。