著者
福原 達郎 槙宏 太郎 柴崎 好伸 鐘ケ江 晴秀 平出 隆俊 加藤 博重
出版者
昭和大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1989

本年度は、本システムによる立体復構モデルを、実際の臨床における外科手術前の診断・術後の予測に応用した。まず、顎顔面部の左右非対称性がみられる患者において、三次元画像上におけるミラ-テクニックを用いた外科手術のシミュレ-ションをおこない、立体モデルとの比較をおこなった。その結果、三次元画像は、それまでのセファログラムの比べて、外科的な骨削除の部位や移動方向のおおよその推定は可能であるが、立体モデルと比べて、離断部位、削除量などが不正確であることが示された。また、本システムを用いた正確な部位の確認と削除量、移動量の検討により、顎関節部の形態、位置関係を前後的、上下的に容易に観察できるため、術後の骨片の動きなどを予測することが可能となった。モデルの作成に要した時間を以下に示す。1.CT撮影・外形線の抽出70(分)2.イメ-ジリ-ダ-による各断層像座標値の取り込み403.CAD内でのモデル構築204.CAMへの出力ならびに切削3005.積層時の外枠形態の出力(一体加工)406.積層・接着20したがって、本システムによる立体モデルは、外科矯正治療における診断・予測のうえで非常に有用であり、治療の支授システム、または、術者間のコミュニケ-ションツ-ルとしての大きな効果が期待されるものと考えられた。
著者
平出 隆俊 小澤 浩之 斉藤 茂 柴田 恭典
出版者
昭和大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

平成5年度は、平成4年度にまとめた『歯の健康に関するアンケート』から得られた、1.咬合ならびに顎機能異常の出現状況の精度を検討するため毎年実施している矯正専門医による歯科検診の『咬合異常の頻度』との比較検討を行った.その結果、高校3年次男子においては歯科検診:22%、アンケートによる自己申告性:26.5%とほぼ同程度の割合であった.従って、本アンケート調査結果は信頼性の高いものと判断できた.このことから次に2.スポーツ活動時に生じた歯・顎・顔面部外傷による咬合・顎機能異常の出現との関連を調査した.その結果、スポーツ外傷は男子:13.8%、女子:0%であった.男子のスポーツ外傷のうち外傷が原因となりその後、咬合・顎機能に異常を訴えたものは男子:41.7%であった.以上のことから活発な顎・顔面部の成長発育期における学童のスポーツ活動に対しては、安全性に対する歯科医学的に検討されるべき点が示唆される.1、2の調査結果をもとにスポーツ活動時における顎機能を調査するため、平成5年度は中学1年生から高等3年生までの6学年に『咬合圧シート』を配布し回収した.現在本資料を解析中である.このことによりスポーツ活動を積極的に行っているものとそうでないものの差異、ならびに各種スポーツ活動に特有に見られる顎機能を調査中である.