著者
牛山 実保子 加藤 実 坂田 和佳子 山田 幸樹
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.318-322, 2020-10-25 (Released:2020-10-28)
参考文献数
8

30歳代女性,主婦.10年間持続する右胸痛を主訴に,集学的多職種診察を行っている当院緩和ケア・痛みセンター内痛みセンター外来に紹介された.生活・家族背景などについて看護師診察の丁寧な聴取で,完璧主義で真面目な性格,母や夫に見捨てられないよう気を使っていること,40カ所の医療機関で見出せなかったトラウマ体験が明らかになり,かつ痛みで自分は死ぬというとらわれにつながっていたことが判明した.看護師は母とも面談を行い,学童期の通学中に同級生の死体遭遇体験,数々の傷つき体験,不安・恐怖感が強く周囲を気にかけての生育歴が判明した.身体的要因とトラウマ体験に伴う強い不安と恐怖感の情動要因の両者に対応した結果,初診から2カ月後に弱オピオイドの減量,痛みの軽減と日常生活の改善が得られた.身体的要因のみに焦点を当てた痛み治療で改善しない症例において,集学的多職種診察チームの看護師診察による本人や家族への介入で,本人の強い不安と関連する重要なトラウマ体験が明らかになり,独特な認知行動特性への多職種の対応が可能となり,集学的診療の効率をあげ有用であった.
著者
今口 忠政 三輪 尚巨 加藤 実禄
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.65-83, 2011-06

研究ノート近年, 国内外のライバル企業同士が互いに独立性を保ちながら, 経営戦略の根幹に関わる部分で協力しあう「戦略提携」が増加している。戦略提携とは, 2つ以上の独立した企業が競争優位性を確立するために他社の経営資源を効果的に活用することを目的とした戦略である。双方の企業が保有する経営資源を相互補完させ, 新規市場開拓や新規技術開発などでシナジー効果を生み出すことができれば, 競争優位性を強化することができる。そのためには, 企業間の提携関係を効果的にする連携のマネジメントが重要な役割を担っている。そこで, わが国企業の戦略提携の現状と, 連携効果を引き出すためのマネジメントに焦点を当て, ハイテク産業である化学産業(医薬品を含む), 電気機器産業, 輸送用機器産業, 情報・通信産業, 精密機器産業に属する企業を対象にアンケート調査を実施した。本稿は戦略提携の理論的考察と, 92社から得られたデータの集計結果および数社のインタビュー調査をもとにして, わが国ハイテク企業の戦略提携について取りまとめたものである。