著者
乾 直人 山川 宇宙 丸山 智朗 加藤 柊也 酒井 卓 佐藤 武宏
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館(旧神奈川県立博物館)
雑誌
神奈川県立博物館研究報告(自然科学) (ISSN:04531906)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.48, pp.43-54, 2019 (Released:2019-09-01)

相模湾とその周辺地域において、9 種の分布が南偏するカニ類(ハシリイワガニモドキ、ヒメヤマトオサガニ、チゴイワガニ、サメハダヒメガザミ、アミメノコギリガザミおよびノコギリガザミ属の1 種、ヒメヒライソモドキ、タイワンヒライソモドキ、トゲアシヒライソガニモドキ、オオヒライソガニ)および2 種の稀少カニ類(ムツハアリアケガニ、トリウミアカイソモドキ)が採集された。いずれの種も既往研究による本地域での記録はごく少ない。採集されたカニ類のうち、一部の南方種については越冬状況や抱卵状況から本地域における定着や分布拡大が示唆され、地球温暖化による水温上昇の影響がこうした定着や分布拡大に寄与している可能性がある。
著者
尾山 大知 加藤 柊也 丸山 智朗 乾 直人
出版者
アクオス研究所
雑誌
水生動物 (ISSN:24348643)
巻号頁・発行日
vol.AA2021, pp.AA2021-2, 2021 (Released:2021-02-06)

渥美半島太平洋岸の7河川において水生動物の採集調査を行った結果、魚類30種、十脚甲殻類21種、腹足類5種を確認した。また、そのうちの注目すべき14種については標本に基づき詳述した。特に、ユゴイKuhlia marginata、オカメハゼEleotris melanosoma、ミナミテナガエビMacrobrachium formosense、コンジンテナガエビM. lar、コツノテナガエビM. latimanus、トゲナシヌマエビCaridina typus、ヤマトヌマエビC. multidentata、タイワンヒライソモドキPtychognathus ishii、フネアマガイSeptaria porcellanaの9種は愛知県からの初記録となった。これらはいずれも近隣地域では既に確認されていた種であるため、本地域の小河川での調査記録が少なかったことが、初記録種が多かった一因であると考えられる。一方、これら9種にはより南方の地域を主な生息地とする通し回遊種も含まれていたため、地球温暖化の影響によって近年愛知県内で確認されやすくなった可能性も考えられる。
著者
加藤 柊也 丸山 智朗 乾 直人 後藤 暁彦 鈴木 寿之 瀬能 宏
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.19-031, (Released:2020-02-28)
参考文献数
19

Eighteen specimens of the pipefish Microphis retzii were collected from several rivers on Iriomote and Ishigaki Islands (Yaeyama Islands, Ryukyu Islands, Japan) from 1990 to 2019. The records from Iriomote Island, including variously sized specimens plus brooding males over multiple years, suggest established settlement of the species. The records from Ishigaki Island, being the first specimen-based records of the species from that locality, are suggestive of a new settlement. Accordingly, M. retzii should be treated as a Japanese resident species, rather than one subject to abortive migration, making them eligible for evaluation of red lists in Japan.