- 著者
-
加藤 達也
町 岳
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育工学会
- 雑誌
- 日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.1, pp.93-102, 2021-06-10 (Released:2021-06-18)
- 参考文献数
- 26
本研究では,小学校4年生の社会科で,半年間にわたり単元統合型授業に学習方略活用支援を加えた授業デザインを実践したことの効果を,社会科の思考力である概念化・一般化及び,問題解決過程に合わせた学習方略活用の2点から検討した.ノートに記述された2つの大単元(4つの小単元)を貫く問いに対する答えを各単元の前後で比較した結果,3つの小単元と2つの大単元で,単元後に概念化・一般化が促進されることが示された.また,社会科の問題解決過程に合わせた学習方略を提示し,方略活用を段階的に児童に移譲したことの効果を質問紙調査と児童が立案した学習計画により検討した結果,児童が予見段階と遂行段階において学習方略を活用していることへの意識の向上や,学習計画の質の向上が示された.本研究の結果は,学習内容論に重点が置かれがちだった社会科授業研究に,新たな研究の視点を提示する可能性を示唆している.