著者
花田 恵介 勝山 美海 河野 正志 竹林 崇 平山 和美
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.503-511, 2021-08-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
20

要旨:体性感覚障害は脳卒中後にしばしば起きる症状だが,体性感覚障害に対する介入が,対象者の内観や生活行動にどのような変容をもたらすかは明らかでない.今回我々は,重度の体性感覚鈍麻によって,日常生活で左手の使用に困難をきたした脳卒中慢性期の男性を経験した.Careyらが示した原則(1993,2012)に準じて,体性感覚刺激を弁別したり同定したりする能動的感覚再学習を1回1時間,週2回,8週間行ったところ,左手の体性感覚の一部と日常生活における使用感が改善した.改善の背景に,残存能力を用いた意識的な代償がうかがわれ,能動的感覚再学習がそれを促した可能性が考えられた.
著者
勝山 美海 花田 恵介 河野 正志 市村 幸盛 竹林 崇
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.733-741, 2020-12-15 (Released:2020-12-15)
参考文献数
19

要旨:右上肢麻痺を呈した亜急性期脳梗塞患者1例に対して,リストバンド型活動量計を用いた行動心理学的介入(Transfer Package)を行った.作業療法介入は,第17病日から1回2時間,週3回,計10回行った.また上肢活動量計測は1週ごとに実施し,対象者に示した.その結果,麻痺側上肢機能と日常生活における麻痺手の使用頻度は改善し,外来終了2ヵ月後にも維持された.上肢活動量の客観的計測は,対象者と作業療法士の双方が麻痺手の使用状況を客観的に振り返ることができ,Transfer Packageをより効率化できると思われた.今後はケースシリーズ研究や比較研究を行い,その有効性を確認する必要がある.