著者
勝田 吉彰
出版者
日本トラウマティック・ストレス学会
雑誌
トラウマティック・ストレス : 日本トラウマティック・ストレス学会誌 (ISSN:13480944)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.82-87, 2012

震災直後よりツイッターでトラウマケアの情報発信を行い,得られた反応を公式リツイート数を指標に分析し一般社会で、求められる情報のニーズ、把握を行った. 「急性期反応への寄添い」「サバイパーズギルト」「グリーフケア」「子ども・障がい者」ヘ高い関心が向けられたのに対し「アルコール」「性」「怒り」への関心は低下した. 「当事者・周囲への働きかけ」に対し「自分自身への対処法」の関心は低く,また,まとまった大量の情報を提示しても関心は示されないなど, リスクコミュニケーションへの留意点が浮かび上がった.さらに時期的には震災発生後第1~3週までは高い関心が持続したが第4週以降は関心が低下したことから,いかに早く発信態勢を立ち上げ,この期間内に知識を普及させるかが勝負になると思われた.
著者
勝田 吉彰
出版者
日本渡航医学会
雑誌
日本渡航医学会誌 = Journal of the Japanese Society of Travel and Health (ISSN:18838065)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.8-13, 2016

本稿では,第20回日本渡航医学会 Meet the Experts 講演にて発表した内容を中心に,渡航医学関連のリスクコミュニケーションについて紹介する.ジカウイルス感染症関連では,最初は「頭の小さな子供が生まれる」程度の実際より軽度の認識から始まり,時間の経過とともにより深刻な知見が次々発表されるという経過から,一般社会の関心を引きつける上で不利な状況となっていることを含め,特有の難しさについて解説するとともに,WHO・米CDC・シンガポール・日本政府など公的機関のリスクコミュニケーション例をあわせて紹介した.後半では,筆者の経験を中心に,北京のSARS流行における外務省医務官としての経験,H1N1pdm,EVD,ジカウイルス感染症流行時にマスメディアを通じて発信した経験から導かれる知見を紹介した.最後に新聞記者に対する過去のアンケート調査や,TV関係者を含む知人から聞き取った医学界に望む声を紹介した.
著者
勝田 吉彰
出版者
(株)日本医事新報社
雑誌
日本医事新報 (ISSN:03859215)
巻号頁・発行日
no.4918, pp.24-26, 2018-07-28

南北首脳会談、米朝首脳会談が開かれ、朝鮮半島情勢は大きく変化していくが、そうした中で医学界が把握しておくべきことを、WHO統計および筆者自身の脱北難民保護業務経験から記した。今後は「38度線を跨ぐ人の流れが増えること」と「医療支援で関わる可能性」がポイン卜となリ、その動向によリ、感染症の流入、医療支援の両面から同国の状況をフォローしていく必要がある。
著者
勝田 吉彰
出版者
日本渡航医学会
雑誌
日本渡航医学会誌 (ISSN:18838065)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.34-37, 2014

民主化による政治経済状況の改善とともに日系企業の進出および在留邦人数が急増しつつあるミャンマーのメンタルヘルス環境について, 2014年の状況をアンケート調査および聞取り調査を行った. 現地の在留邦人は,民主化以前から駐在していた群,民主化後の進出ブームに乗ってきた群,若年起業者や個人事業主の3群が主である.邦人のストレス要因として,インフラ(通信・生活・交通・医療)の未整備, ミャンマ一人,娯楽の欠如が上位を占めた.また,数は少ないものの,間取りが進むと, 「急速な変化の下,国の運営のされ方が分からないこと,現状把握のむずかしさ」,「日本の本社」など仕事上の困難が明らかになった. 「感染症の存在」はストレス要因として認識されることは少ないものの狂犬病は市街地における野良犬の跋扈という形で可視化されやすく,多く気にされていた.