著者
勝田 悦子 内山 彰 山口 弘純 東野 輝夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.476, pp.61-67, 2012-03-05

GPSは多くの携帯電話に搭載され,我々の生活に欠かせないものとなっているが,都市部においてはビルなどの障害物による遮蔽や反射・回折の影響を受け,測位誤差が大きくなることが知られている.そこで本研究ではGPSの見通し状況と建物情報を利用した位置推定精度向上法を提案する.提案手法では都市部においてビルなどによりGPS衛星の見通し状況が端末の位置及び衛星の位置ごとに変化し,それに応じて信号の受信状況が変化することに着目する.周辺の建物情報に基づくGPS見通し状況を各地点において事前に計算することでフィンガープリントを構築し,受信状況から推定したGPSの見通し状況とのマッチングによって位置精度向上を図る.その際,複雑なGPS受信状況に対する堅牢性を実現するため,信頼性の低い見通し状況推定結果を事前観測に基づき除外する.大阪駅周辺で取得したデータを用いて性能を評価した結果,確率0.9で平均誤差17.9m相当の領域を特定できることが分かった.
著者
勝田 悦子 内山 彰 山口 弘純 東野 輝夫
雑誌
研究報告高度交通システム(ITS)
巻号頁・発行日
vol.2011-ITS-47, no.18, pp.1-8, 2011-11-03

携帯電話の普及とともに携帯電話にGPSを搭載することが求められるようになり,ナビゲーションなどの目的でGPSを利用する機会が増えている.本研究ではGPSの新しい利用方法として,Signal to Noise Ratio(SNR)などGPSの受信状態を用いて端末が屋内・屋外のどちらに存在するかを判定する方法を提案する.このため,様々な屋内外環境においてGPSの受信状態を収集し,各環境での特性から事前に判別モデルを構築しておくことで,屋内外判定をリアルタイムに実行する.屋内外判定により,屋内外で位置推定法をシームレスに切り替えたり,地図情報と組み合わせた位置推定の精度向上などの実現が期待される.提案手法の精度を確認するため,郊外や都市部など様々な屋内外環境でGPSの信号強度を収集し環境に応じて評価した結果,屋内外が切り替わってから7秒で90%の判定成功率を達成できることを確認した.
著者
内山 彰 勝田 悦子 上嶋 祐紀 山口 弘純 東野 輝夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.389-398, 2014-01-15

GPSは多くの携帯端末に搭載され,我々の生活に欠かせないものとなっているが,都市部においてはビルなどの障害物による遮蔽や反射・回折の影響を受け,測位誤差が大きくなることが知られている.そこで本研究ではGPSの見通し状況と建物の3次元モデルを利用した位置精度向上法を提案する.提案手法では建物の形状や配置により,各GPS衛星の見通し状況が地点ごとに決まることに着目する.衛星の見通し状況は,スマートフォンなどで一般に取得可能なGPS信号のSignal to Noise Ratioに基づき推定する.建物の3次元モデルに基づき,衛星の見通し状況を各地点において事前に計算しておき,フィンガープリントを構築する.構築したフィンガープリントと,GPSの受信状況から判定した見通し状況とのマッチングを行うことで存在領域を絞り込み,位置精度向上を図る.大阪駅周辺で取得したGPSログを用いて提案手法の性能を評価した結果,平均正解率81%でGPS測位結果の誤差範囲に対して17%相当の領域に絞り込みが可能なことが分かった.