著者
北地 雄 原 辰成 佐藤 優史 重國 宏次 清藤 恭貴 古川 広明 原島 宏明
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.481-488, 2011-12-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
54
被引用文献数
15

【目的】歩行は日常生活でもっとも使用される移動手段であり,高齢者では歩行能力と日常生活範囲に関係がある。歩行が自立することにより様々な利点があるため歩行自立の判断は根拠をもっておこなうことが必要である。本研究の目的は,初発の脳血管疾患後片麻痺を対象とし,歩行自立判断のためのカットオフ値を得ることである。【方法】回復期病棟に入院していた初発脳血管疾患後片麻痺者に対し,Timed Up and Go test(以下,TUG),麻痺側下肢荷重率(以下,荷重率),Functional Balance Scale(以下,FBS)を測定した。そして,これらの評価指標における歩行の自立を判断するカットオフ値を検討した。【結果】歩行自立のためのカットオフ値はTUG快適速度条件,TUG最大速度条件,荷重率,FBSでそれぞれ,21.6秒,15.6秒,0.70,45.5点であった。【結論】初発の脳血管疾患後片麻痺者の歩行自立を判断する際には,今回のカットオフ値により良好な判断が可能となる。
著者
北地 雄 鈴木 淳志 原島 宏明 宮野 佐年
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.1023-1026, 2014 (Released:2015-01-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

〔目的〕集中的なリハビリテーションが行われる回復期病棟入院時の脳卒中者に対し,リハビリテーションに対するモチベーションを調査し,その関連因子を抽出することによって,より円滑で効果的なリハを提供する一助を得ること.〔対象〕脳卒中者23名.〔方法〕モチベーションはリハビリテーションに対する期待度を聴取することで評価し,それと身体機能面,心理・精神的側面,社会的側面およびQOLとの関連を相関分析と回帰分析を用い調査した.〔結果〕モチベーションは日常生活動作能力や自立度,良好なコミュニケーション能力や気分,およびバイタリティと関連し,特に日常生活自立度と気分が重要であった(R2=0.524).〔結語〕日常生活自立度の向上,良好なコミュニケーション,および心理的ケアがモチベーションを向上させる可能性が示唆された.
著者
北地 雄 鈴木 淳志 原島 宏明 宮野 佐年
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.995-1000, 2014 (Released:2015-01-21)
参考文献数
40
被引用文献数
1

〔目的〕リハビリテーションの阻害因子である脳卒中後の抑うつとアパシーに関連する因子を抽出し,より円滑で効果的なリハを提供する一助を得ること.〔対象〕亜急性期脳卒中者23名.〔方法〕抑うつとアパシーをそれぞれCES-Dとやる気スコアを用い評価した.身体機能面,心理・精神的側面,社会的側面,およびQOLとの関連は相関分析と回帰分析を用いた.〔結果〕抑うつ症状,アパシーともに約35%に認められた.どちらも心理・精神的側面およびQOLと関連した一方で,アパシーのみが身体機能面,社会的側面と関連した.回帰分析から,抑うつには心理・精神的側面,アパシーには年齢が強く影響することが示された.〔結語〕高齢であり,心理・精神的変調が示唆される脳卒中者のリハの進行には,特に配慮を要することが示唆された.
著者
北地 雄 原島 宏明 宮野 佐年
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.95-99, 2013 (Released:2013-04-11)
参考文献数
15
被引用文献数
1

〔目的〕Functional Balance Scale(以下,FBS)の構成要素を明らかにすること.〔対象〕脳血管疾患後の片麻痺者59名.〔方法〕FBSの評価値に対して因子分析をおこない,分類された因子ごとにその妥当性を検討した.〔結果〕FBSは動的バランス,静的バランス,および粗大下肢筋力に分類され,これらの構成要素には身体機能や動作能力との関連性が認められた.〔結語〕FBSの従来の有用性を保ちつつ,今回の分類を用いることで,さらに詳細な評価が可能となることが示唆される.