著者
神谷 健一 田中 省作 北尾 謙治
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.2_45-2_58, 2009 (Released:2011-09-01)
参考文献数
13

本稿ではデータベース・ソフトウェアの1つである FileMaker Pro による,英語学習教材の自動作成における言語処理技術と教材作成の連携可能性を提案する.著者は,実際の英語の授業でも利用しやすいプリント教材や簡易 E-learning 教材を出力できるツールを開発し,無料公開している.これらのツールでは GUI 環境での操作が可能であるため,パソコン利用スキルが限られる一般の英語教員にも利用しやすく,任意の英文素材から Phrase Reading を軸とした精読教材および Cloze テストを利用した学習教材を短時間で作成することができる.
著者
小林 雄一郎 北尾 謙治
出版者
同志社大学
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-14, 2010-06

研究論文語彙と読みやすさは、英文における重要な難易度の指標である。非母語話者であれば、母語話者よりも使用できる語彙が少なく、複雑な文章を読むにも困難がともなう。そのような場合の解決策の一つがレベル別多読教材 (Graded Readers, GR) である。GRでは、複数の難易度レベルが設定されており、読者は自分の英語力に合った教材を選ぶことができる。しかしながら、日本の中学校・高等学校でそれらを補助教材として用いる場合、どの学年の学生にどのレベルが適しているかは必ずしも明確ではない。そこで、本研究の目的は、語彙と読みやすさの観点から、日本の中学校と高等学校の英語検定教科書とレベル別多読教材 (Graded Readers, GR) を計量的に比較するものである。その結果から、(1) 語彙の難易度に関して、教科書は同じレベルのGRよりも難しい、(2) 語彙のカバー率に関して、GRはかならずしも十分ではない、(3) 教科書とGRを識別する語の多くは固有名詞であり、逆に言えば、両者の語彙分布に大きな差は見られない、(4) 読みやすさに関して、GRはそれほど統制されている訳ではない、(5) 教科書で学んだ生徒達は、同じレベルのGRを十分に読める可能性があることなどを議論する。Non-native speakers of English have a much smaller vocabulary in English than native speakers do, and they also have difficulty of understanding complex sentences. For non-native speakers of English, readability and variety and levels of vocabulary are good indices for predicting difficulty levels of English passages. Therefore authorized English language textbooks in Japanese junior and senior high schools are controlled for vocabulary and readability. Graded readers, which are reading materials for non-native speakers of English from the beginners to the advanced learners, are also controlled with vocabulary and readability. This study measures readability and vocabulary levels of authorized English language textbooks and graded readers, level 1-6. From the results of their analyses, authors argue 1) English language textbooks are more difficult than the same level of graded readers. 2) In some cases, not enough of the vocabulary in graded readers is covered by the authorized textbooks. 3) Textbooks and graded readers share much of the same vocabulary. 4) Graded readers are well controlled for vocabulary but not for readability. 5) Though junior high students who have studied with English language textbooks may not be able to read the same level graded readers, high school students should be able to. These conclusions, based on a pilot study, are preliminary need further research.
著者
北尾 謙治 北尾 S.キャスリーン
出版者
同志社大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

24年には私たちは米国のテレビコメディーの「モダーンファミリー」の最初の3シーズンを使用した。謝罪によく使用される“sorry,” “excuse,” “apologize,” “forgive,” と“pardon”の5キーワードを使用して、コーパス内の謝罪を特定して、分析した。25年度はこの研究の吟味をして、謝罪に対して応じる言い方を研究した。まず以前の研究で謝罪にどのように応じたかや発話行為のデータを集める種々の問題を吟味する。米国のシチュエーション・コメディの「モダーン・ファミリー」の72エピソードの字幕のコーパスから抽出した320の謝罪を分析した。謝罪の応答を9つのカテゴリーに分類した。それらは、応答なし、相手のしたことを最小限にすること、したことに焦点をしぼること、謝罪の説明や理由に答えること、明らかにすることを求めること、謝罪で返答すこと、音の発生、不信感を示すこととその他。私たちはそのどのカテゴリーの返答が使用されるか、それらはどの様な状況で使用されるかを研究した。謝罪の9つの応答は私どものオリジナルのカテゴリーである。私どもは、コーパスから謝罪の仕方の例を収集して、データドリブンの教材を試しに作成した。私どもは謝罪のスピーチアクトで、謝罪以外の意味に使用される場合の分析もしたが、これをした例は今までに見当たらない。