著者
池浦 弘 北村 義信 藤巻 晴行
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会誌 (ISSN:18822770)
巻号頁・発行日
vol.85, no.10, pp.953-958,a2, 2017 (Released:2021-01-14)
参考文献数
9

ヨルダンでは降水量が少ないことに加え,国際河川からの取水量の制限,さらに近年の人口の急増による水需要の増加などにより水資源が逼(ひっ)迫している。ヨルダンの農業はヨルダン渓谷および比較的降水量が多い北部の高地などを中心に行われているが,農業分野は水配分の優先順位が最も低く,限られた水資源で農業生産の増加を達成することが求められている。このような水資源の需給状況と,2015年に国連の持続的開発目標が定められたことを背景に,ヨルダンでは2025年に向けた水戦略の改定が行われた。本報では,ヨルダンの水資源と水戦略について灌漑に関する事項を中心に紹介する。また,著者らが同国で調査した灌漑農業の現状と課題を述べる。
著者
近藤 謙介 池田 奈美枝 樫原 千枝 北村 義信 岩崎 正美 恒川 篤史 松添 直隆
出版者
日本植物工場学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.15-21, 2010-03-01

高温期における再生紙マルチの利用がミズナ2品種'京みぞれ'と'晩生白茎千筋京水菜'(以下, '白茎')の生育, アスコルビン酸含量および硝酸イオン濃度に及ぼす影響を検討した. 処理区は白色と黒色の再生紙マルチを用いた紙(白)区と紙(黒)区, シルバーポリマルチを用いたシルバー区, さらに裸地区を設け, 計4処理区とし, 露地および雨よけハウス内でそれぞれ栽培した. 栽培期間中で最も気温の高かった日の地温および平均最高地温が最も低かった区は露地とハウス内ともに紙(白)区だった. 再生紙マルチの昇温抑制効果はハウス内よりも露地で大きかった. 欠株率はマルチ処理区間に差は認められなかった. 生育は紙(白)区が最大で, その要因としては処理区間の土壌含水比に差がなかったことから, 再生紙マルチの地温上昇抑制効果が大きく関与したと考えられる. また, 品種間を比べると'白茎'は'京みぞれ'に比べ欠株率が低く, 生育が良好だった. アスコルビン酸含量は'白茎'の紙(白)区が裸地区に比べ有意に多かった.一方,硝酸イオン濃度は処理区間に差はなかった.以上の結果から, 高温期における再生紙マルチの利用は, ミズナの生育を促進できることが明らかとなった. また, 欠株率, 生育およびアスコルビン酸含量に品種間差が認められたことから, 高温期栽培に適したミズナの品種の選定・育成も必要と考えられた.